北海道西胆振地域の6つの自治体で構成される西いぶり広域連合では、コミュニティクラウド型の住民情報システム「西いぶり行政サービス基盤」を構築し、稼働を開始した。製品を提供した日本オラクルが4月6日、発表した。
西いぶり広域連合は北海道室蘭市、登別市、伊達市、豊浦町、壮瞥町、洞爺湖町の6つの自治体から構成され、ごみ処理やリサイクル、都市公園の管理、共同電算センターの運営、広域行政の振興に関する事務の共同化を推進している。
このうち室蘭市、登別市、伊達市、壮瞥町の4市町では、行政システムの共同運用化によるITコスト低減を目指して共同電算センターを2007年度に開設、住民記録や税、保健福祉、上下水道料金など計68の業務システムを稼働させている。
広域連合では今回、共同電算センターの機器更新に合わせ、コミュニティクラウドの形で統合的に管理、運用でき、災害にも耐えられる行政サービス基盤を構築すべく、データセンターをクラウド化した。
クラウドのデータベース基盤として「Oracle Database」、アプリケーション実行基盤として「Oracle WebLogic Server」をそれぞれ採用した。また、システム構築は富士通が担当し、運用までのプロジェクト全体を支援した。
行政サービス基盤をクラウド化することにより、ハードウェアリソースの有効活用や、新規システムの短期導入と初期費用抑制、性能と可用性の向上、運用の標準化による煩雑な運用業務の低減といったメリットが実現したという。
また、従来は市町の業務ごとに個別に最適化された複数のシステム上に構築していたデータベースは、PaaS(Platform as a Service)としてOracle DBによる共通基盤に統合された。
これにより煩雑な運用管理も標準化され、統合基盤の運用管理製品「Oracle Enterprise Manager」を活用することで、バックアップや運用監視など運用効率が向上した。さらに、データベースクラスタ技術「Oracle Real Application Clusters」により、拡張性と高可用性の両立が可能となった。
西いぶり広域連合 共同電算室主幹の佐久間樹氏は、以下のようにコメントしている。
「クラウド化された共通基盤に複数の業務システムを統合することで、バックアップなどの運用も標準化され、リソースの有効活用や可用性、運用効率が向上することを期待しています。さらに今後は、マイナンバー対応に関連し統合宛名も当データベース共通基盤で稼働させる予定です。新規にハードウェア調達などが不要なため、システムの短期導入と初期導入費用を抑制する効果もあります」