クラウドの興隆がもたらす「サービス化」の波

Stilgherrian (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2015-04-10 06:15

 「サービス化(servitization)」は漠然としたバズワードだ。この言葉には、自社の商品をさまざまな製品として販売するのではなく、一連のサービスに変えて提供するという意味が込められている。これにより、サービス化された他社のサービスを利用するケースも出てくることになる。

 企業活動のオンライン化が進むなか、サービス化という戦略は、自社のサービスを一連のウェブサービスやAPIとして提示していくことになるという意味を持っている。こういったものを通じてサービスを送り届ける、あるいは少なくとも(末端顧客に対する実際のサービスの調達が人手や物理的なマシンによって行われる場合であったとしても)注文や管理、支払いを行うというわけだ。

 フューチャリストであり戦略アドバイザーでもあるRoss Dawson氏によると、潜在顧客に対してAPIを公開するというのは「オープンさに向けて自ら加速していくトレンド」の一環であるという。しかしそれは、商品のあらゆる側面をオープンにするという意味ではないという。実際のところは、まったくの逆なのだ。

 Dawson氏は2月にオーストラリアのシドニーで開催された「APIdays」カンファレンスで「組織内の情報は大まかに言うと3つのレイヤに分かれて存在している」と語った。

 同氏は「まず、さまざまな理由で今後も常にプロプライエタリなものとなるいくつかの情報がある」と述べた。これらの情報には、企業秘密やその他の知的財産、あるいは法律上の理由で秘密にしておくべきデータが含まれている。

 「その対極として、世界に公開してもまったく問題のない情報がある。そしてその中間には信頼できる相手と共有できる情報がある(中略)これによりいくつかの疑問が首をもたげてくる。信頼できる相手とはどういった相手だろうか?どのようにすれば信頼できる相手だと判断できるのだろうか?彼らと共有できるのはどのようなデータなのだろうか?信頼できる相手のタイプに応じて共有するデータの種類や形式を定義するには、どのような仕組みが必要なのだろうか?」(Dawson氏)

 これらすべての疑問はたった1つの問いに集約できる。その問いとは、企業は社内のどの情報を、どの部外者に利用できるようにすべきかというものだ。

 Dawson氏は、「問いそのものは簡単だが、その答えは組織の在り方を定義するものとなる。これは幹部たちが熟考する必要のあることだ(中略)そこで出てきた答えが組織の形態を決める戦略上の意思決定となる」と述べた。

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