NTTコミュニケーションズは、2011年から進めているNTTコミュニケーションズグループ全体の企業向けサービス戦略「Global Cloud Vision」の2014年度までの進捗状況と今年度の取り組みを発表した。
Global Cloud Visionは「ICT環境の最適化により、お客さまの経営改革に貢献」という方針の下、グローバルレベルで統一化されたICT環境、低コスト/柔軟/オンデマンドなICT環境、安心安全なICT環境によるICT最適化を実現し、経営改革への貢献を目指す、NTTコミュニケーションズグループのクラウド、データセンター戦略だ。毎年、代表取締役社長である有馬彰氏自身が戦略発表を行っている。
2015年度2000億円の目標達成は難しい
代表取締役社長の有馬彰氏
2013年度からクラウドとデータセンター事業の売り上げを「2015年度には2000億円以上に」としてきた。しかし、代表取締役社長の有馬彰氏は「達成は難しくなった。数値目標は改めて決算発表の席で申し上げたい」と売り上げ目標については変更したことを明らかにした。
売り上げ拡大の鍵を、M&Aによる海外事業売り上げ拡大としてきたが「現在の海外の売り上げ比率は22-23%程度。残念ながら国内売り上げは毎年減っている。さらに海外売上比率を上げていくしかない」とさらなる海外事業拡大に意欲を見せた。
NTTコミュニケーションズでは、マネージドセキュリティ分野、マネージドICT分野、クラウド型アプリケーション分野、データセンター/クラウド分野、データネットワーク/VoIP分野で積極的に海外企業のM&Aを進めてきた。特にデータセンター/クラウド分野ではグローバル拠点拡大のために、3月にドイツ最大のデータセンター事業者e-shelterの株式取得に合意したと発表している。
2014年度はこうしたM&A戦略とともに「各国バラバラにサービスを提供してきたが、これを均一化していく必要がある」とグローバルシームレスサービス、グローバルシームレスオペレーション、グローバルシームレスセールスと三領域を世界共通仕様とすることに取り組んだ。
その結果、サービスについては2014年度までに12のサービスをグローバル化。今年度にはこれを13に拡大することを目標とする。セールス体制のグローバル化については、営業体制、バックエンドのシステム/データベースを活用して多国籍企業を支援するための対応を強化し、コンサルティングについても日本だけでなく海外拠点でも提供する体制をさらに強化していく。
データセンター面積拡大へ
主要サービスの展開実績としては、データセンターは2014年度には21.4万㎡となったが、2015年度計画では34.9万㎡まで拡大させる。クラウドサービス拠点も2014年度の12拠点から16拠点に拡大する計画だ。クラウドサービスの顧客数は2014年度時点で7300となる見込み。ネットワークサービス(VPN)提供国/地域はVirtel買収により196まで拡大。ネットワークサービス契約回線数も2014年度時点で29.9万となる見込みとしている。
「残念ながら、海外での当社の知名度がまだまだ低いのが実情。そこで当社グループのサービスをご利用のお客さまについて国内はもちろん、海外のお客さまの一部には積極的に会社名を公表させてもらっている」(有馬社長)と、海外の有名企業がユーザーとなっていることを積極的にアピールしていく。
また外部評価機関の評価で、GartnerのMagic Quadrant for Network Servicesで2年連続リーダーに位置づけられるといった点をアピールし、海外での認知度、評価向上に取り組んでいる。
データセンター拡充に動く