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すべての表計算ソフトのデータをビジュアル化したい--タブローソフトの浜田俊氏 - (page 3)

吉澤亨史 山田竜司 (編集部)

2015-04-09 08:20

 それで、日本でもやろうということになったのですが、本社から「まだ日本では始まったばかりだから、100人くらいの規模でやりなさい」と言われました。それが、有料カンファレンスでチケットの販売期間も短かったのですが、2週間で200枚売れました。もともと本社の指示で100人規模の会場を予約 していたので、300人入る会場にしてもらいましたが、セッションの会場が足りなくなるほどでした。

 ユーザーの伸びは、去年が対前年比200%、去年純増した顧客の数は400件です。1日1社といっても嘘ではない。米国では毎年平均85%伸びていますが、日本はそれと同じ伸び率ではダメだと思っています。まずはそこに追いつかなければなりません。日本での伸び率は世界でも抜きんでていて、Tableau の最高情報責任者(CIO)は「日本人はBIを使いこなせる土壌を持っている」といいます。日本にはExcelのスーパーマンがたくさんいますが、そういう方がTableauを見たら興味を持っていただけると思います。

--BIソフトには、分析機能を売りにしている製品が多いが、分析機能については。

 これはよく誤解されるのですが、Tableau Softwareは分析ソフトではなくビジュアライゼーションソフトなんです。例えば、Excelの表は数字の羅列ですよね。そうするとどれだけ儲かっているか、赤字はないかなどを数字から探すのは大変です。それをTableauは可視化できます。そうすると、売れているけど赤字の製品というのがわかります。製品についての数値をドリルダウンできるんですね。それはExcelで数字を探してもわかりません。その可視化が今までできていなかったわけです。

 例えば予算と実績のファイルがそれぞれあったとします。Tableauではそれを一緒に見て比較することが簡単にできます。最初からいろいろなデータベースとのコネクタをネイティブで持っているので、Oracle DBのデータと(IBMの)DB2のデータを読み込んで一緒に見るということもできます。また、Tableauでも簡単な予測はできますが、できない部分はオープンソースの統計解析ソフト「R」とつなげます。システムは分析結果を表示しますが、結果から関連性を類推するのは人間ですから。一方、例えば銀行が貸し出しをするときの分析など、特殊な場合は専門的な分析ソフトが必要かも知れません。

 Tableau Softwareの一番の良さは、可視化の方法や軸をその場でどんどん変えていけることです。従来の経営会議では、Excelの表を印刷したものを使っていました。それだけでは、社長や常務の突然の質問に答えられません。しかし、Excleで資料を作成するために優秀な人材を5人雇っている会社は多くあります。それならば、そういう人材にTableau Softwareを使いこなしてもらい、経営会議で社長や常務の質問にグラフを変えながら答える方が、ずっと活用できますよね。

--今後の展望は。

 今は先のことより、現在にフォーカスしています。今が一番大事なときです。今来てくれる顧客をちゃんとケアする。調子がいいからといって、サボるのは絶対に許さない。今がんばっておけば、数年後にまた伸びます。部下に対して、売り上げが立たないことに対しては何も言いませんが、おざなりな回答や待たせることには怒ります。それは絶対にダメ。会社がつぶれるときは顧客が見捨てるときです。

 数年後には、いまExcelなどの表計算ソフトを使っているように多くのユーザーがTableau Softwareを使うようになって、データをビジュアル化すると信じています。Tableau本社は「すべてのExcelユーザーがリプレイス対象」と言いました。そうすると、グラフが特別なものではなくなって、直感的に理解した後にその根拠として数字を見ることになるので、決断がすごく速くできるようになると思っています。

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