前編と中編に引き続き、朝日インタラクティブで開催したマーケティングオートメーション(MA)に関する座談会記事の後編。2BC 尾花淳氏をモデレーターに、MAで大きなシェアを持つベンダーの見識者(日本オラクル 東裕紀央氏、シナジーマーケティング 岡本亨氏、シャノン 中村健一郎氏、セールスフォース・ドットコム 笹俊文氏、マルケト 福田康隆氏)が集まった。後編ではMAの費用感や可能性、運用のコツ、未来像を語った。
月額数万円から――MAの費用感
後編の最初に、今回ご参加いただいている各社の特長や費用感、MAの普及や進化にどう貢献していくかといったところを聞きたいと思います。
中村氏 シャノンでは、シンプルにマーケティング課題をちゃんと解決しようということをテーマに出しています。「ツールをどうぞ」ではなく、お金を払う側としては「使うんだから結果くれよ」というエリアだと思います。マーケティング全体の課題解決にどれだけ役に立てるかというテーマを持っています。いわゆるオンライン系の施策だけでなく、イベント、セミナーなど範囲を広げてます。
2BC 代表取締役 尾花淳氏
提供しているシャノンマーケティングプラットフォームでは、マーケティング業務の自動化や効率化と統合的なデータ管理により、より効果的に結果につなげていくにはどうすればいいのかを積み上げる仕組みを持っているのが特長かと思います。
価格レンジはさまざまであり、導入費用はピンキリですがスタンダードでは50~300万円のレンジに入ると感じています。月額は10万円程度から数十万の方が多いです。
岡本氏 シナジーマーケティングの特長としては、海外勢のプロダクトに比べると機能をしぼり、導入にかかるコストは比較的低く設定している点です。費用に関しては、システムの金額だけだと初期費用が15万円から、月額費用が2万5000円からです。一番多いユーザーのレンジは、月額5万円くらい。データ件数に応じた従量課金なので、そのレンジが多いです。これはSaaS型CRMの「360」も同じです。
シナジーマーケティングの特長としてはヤフーと提携したことです。ヤフーが持っているデータは(量では)日本トップクラスのウェブ上での行動履歴情報ですから、そこの行動情報と組み合わせたマーケティングコミュニケーションを目指しています。ヤフーと一緒に新規プロダクトの計画を進めています。
東氏 オラクルでは観念がふたつあって、ひとつはBlueKaiなど他のECなどを組み合わせてAcquisition(見込み顧客)を獲得し、キャンペーンで育て上げるところまでトータルで提供すること。これはオラクルの強みだと思います。
もうひとつは、MAの中心になってくるEloquaという製品です。強みでいうとグローバルのエンタープライズで採用されてきているというところですね。またプロダクトだけでなく、ベストプラクティスのノウハウを提供できます。
製品で言うと、顧客からよく評価されるのはユーザーインターフェース(UI)です。UIで全体が見え、キャンペーンを絵を描くように作れるところは強みかなと思います。価格は、Eloquaではベーシックが月20万円から、スタンダードが月40万円からと、使える機能が若干違います。スコアリングまで使えるのは40万円のもので、いま採用されているモデルはほとんどが月額40万円からです。もちろんコンタクト数によっても変わりますが。