家族や恋人からの覚えがめでたくなる
「Taptic Engine」のフィードバック機能から得られる別のメリットを指摘しているのがThe New York Times のFarhad Manjoo。「スマホ中毒」を自認するManjooは、この通知機能のおかげで、スマホの画面のなかに埋没することが以前よりも少なくなったので、奥さんの覚えがめでたくなった、などと記している。
Manjooは全体としてApple Watchのことがかなり気に入ったのか、「使い始めて4日目に本当の良さがわかってからは、これが自分の身体の一部(natural extension of my body)になったようで、おかげでデジタルワールドと自分の脳が直結したように感じた(そんなことはいままでなかった)」などとも記している。
ただ結びの一文は「Apple Watchの第一弾はあなた向きではないかもしれない――しかし近い将来、これがあなたの世界を変える」となっていて、Apple Watchがいますぐ万人に勧められるものではない点もそれとなく指摘している。
家族の関わることでいうと、「生後14カ月の娘が家にあるiPhoneに夢中でも、Apple Watchからさまざまな通知をみられるので助かる」というJoshua Topolsky(Bloomberg Businessweek)の指摘も面白い。
ただ、「iPhoneに加えて、集中力を妨げるもの(distractions)がまた1つ増えた」「通知がくると会議中でもつい確かめたくなってしまう」などとも記しており、さらに上述のGruberと同様「時間を確かめるという基本的な部分で、普通の時計に劣る」などとも書いていて、全体としてはニュートラルな評価という印象だ。
また下掲のビデオのなかで、「ハードウェアのつくりはとても素晴らしいが、あくまでスマートウォッチ、デジタル時計としてであり、80年代に一時流行したカシオ製の電卓付腕時計を思い出させる部分もある」などと述べているのも面白い。
なお、Joshua Topolskyの記事の見出し――「これは本当に必要なものではないが、あなたはきっと欲しくなるだろう」(Apple Watch Review: You’ll Want One, but You Don’t Need One)ならびに副題――「Appleは世界最高のスマートウォッチづくりに成功した」(The company has succeeded in making the world's best smartwatch)は、Apple Watchに対する各媒体のレビューアーの見方を代表しているようにも感じられた。
「あなたがiPhoneのパワーユーザーで、しかもウェアラブルテクノロジの約束するものに興味を引かれているのではあれば、きっと(自分と同様)気に入ると思う。ただ、だからといってApple Watchは万人に勧められるものではない」というRe/codeの指摘、あるいは「Apple Watchはこれまでに登場したスマートウォッチのなかでは、もっとも意欲的で、またつくりも一番良い製品だが、第1世代に製品に付きものの欠点(不足点)のせいで、必需品というよりも格好良いオモチャと感じれられる」というCNETの指摘なども、ほぼ同じことを指しているかと思える。
(敬称略)