クラウド活用で次世代アプリケーションをシンプルに導入すべし:ハードCEO

三浦優子 2015年04月10日 18時50分

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 日本オラクルは4月9~10日、イベント「Oracle CloudWorld Tokyo 2015」を開催。2日目の基調講演は米本社最高経営責任者(CEO)であるMark Hurd氏が登場した。

 Hurd氏は「20年前のレガシーシステムがいまだに利用され、コストの8割が保守費用に使われ、イノベーションのために使われるコストは20%に過ぎない。保守にコストを費やしている企業はイノベーションに追随できず消えていく。クラウドを活用することで、次世代アプリケーションをシンプルに導入し、イノベーションをシンプルに実践すべきだ」とクラウドでの社内ITのイノベーション実現を訴えた。

 基調講演にはオラクル製品のユーザーであるソフトバンクモバイルの代表取締役社長兼CEOである宮内謙氏も登壇し、「初めて公表する」という社内用リアルタイムコンピューティングプラットフォーム「Chronos Core」を紹介した。Chronos Coreは毎月実施する課金、請求を行う際の処理速度を3万倍と大幅に向上したことで、従来は5時間かかっていた業務が0.6秒と瞬時に処理できるようになったという。

 宮内氏は「最新のITをフル活用することで、契約回線数は2倍に伸張しながら、ITコストは半分に抑えることに成功した」と最新IT活用が経営に大きくプラスとなっていると話した。

Mark Hurd氏
Oracle CEO Mark Hurd氏

クラウドという現実を受け入れるべき

 基調講演の冒頭、Hurd氏は「色々な人がCEOに対し、『将来、世の中はどう変化するのでしょうか?』と質問する。CEOは将来を見通している存在だと考えるからだ。しかし、実際にはCEOが考えているのは自分が率いる企業がどう生き残っていくのかしか考えていない」と切り出した。

 Hurd氏は「CEOの在任期間は以前5~10年だった。しかし、最近では5年と半分になった。成長できず、収益を上げることができない企業が増えているからだ」とCEOを取り巻く環境が厳しくなっていることを解説した。

 個人のIT支出と企業のIT支出が同じ1兆ドルの市場規模となっていることを挙げ、消費者のIT支出はうなぎ登りで増えているのに対し、企業のIT支出はこの数年、ほぼ横ばいの状態が続いていると言及した。「企業のIT支出は横ばいである上に82%が保守に使われ、イノベーションの支出割合は18%にとどまる。これは大きな問題だ」

 Fortune 500のうち現在、1990年と比較して70%、2000年と比較しても50%が圏外になっていることを挙げて、「これだけ大きな伝統的企業がつぶれるわけはないと思っていたら大間違いだ」と企業を取り巻く環境が厳しいものであるとした。

 そうした背景がある中で、大きな伸びを見せているのがクラウド市場として、日本国内でも「IT投資の伸びが0.8%であるのに対し、クラウドへの投資は24.2%と支出を抑えながら、新規投資先としてクラウドへの投資が進んでいると説明した。

 消費者の動向も変化し、「以前、消費者は電話をかけて企業にクレームを言った。ところが現在は消費者はクレームを入れる前にSNSで投稿する。つまり消費者が大きなパワーを持つ時代となっている」と話した。

 そして労働者の世代交代によって、「Oracleという企業を調べようとする場合でも、以前のように問い合わせて資料を集めるというサイクルから、インターネット上の情報を集め、クチコミを調べてから入社を考える層が働く時代となってきている」と企業を支える人材も変化していることをあげた。

 日本の労働人口の変化についても言及し、2010年時点で1億2800万人だった総人口が2030年には1億1700万人となり、生産年齢人口は8000万人から6700万人となることから、「日本も生産性を現在よりもさらに15%と上げて対応するしかない。15歳以下の人口が足りないといっても、発注して届けてもらうわけにはいかない。こうなると定年の年齢が引き上げられ、長期間働く人が増えていく。つまり企業には21歳から70歳まで、およそ50年の年齢ギャップがある人が働くようになる」と指摘した。

 この動きは日本だけでもなく、「米国でも起こっている問題で、定年の年齢は引き上げられるだろう」とした。

 若い世代は新しい感覚を持ち、「娘にメールを送っても、『何を送ってきているの?』と反応が悪い。彼女たちはメッセージングでコミュニケーションする世代。彼女たちの世代は、私がある会社の勤続25年記念で盾をもらったと話しても怪訝そうな反応をする。より高い給料を求めて仕事をしていく私たち世代とは違い、給料を高くすることよりも自分たちのペースで働くことを優先する。これは米国だけのことではなく、日本でもそうかもしれない」と話した。

 企業ITについてHurd氏は「依然として古いものが使われている。20年前のレガシーアプリケーションがまだ企業の中に残っている。その結果、8割が保守費に使われ、イノベーションに追随できなくなった結果、Fortune 500の圏外に去って行くことになる」と変化に対応が遅れている企業には将来が厳しくなると話した。

 変化に対応するためには「クラウドの現実を受け入れるべきだ」というのがHurd氏の主張だ。

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