マスターズゴルフトーナメントの新しい楽しみ方--IBMの新IoT技術「Track」

Zack Whittaker (ZDNET.com) 翻訳校正: 川村インターナショナル

2015-04-16 06:04

 ジョージア州オーガスタ発--スポーツのスコアは魔法によってスマートフォンに配信されるわけではない。

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 ゴルフは、最も人々を熱中させるスポーツではないと思う人もいるかもしれない。けがをすることも少ないし、乱闘が起きることなどめったにない。しかし、2015年のマスターズゴルフトーナメントを現地で観戦した何千人もの人々は、ゴルフに夢中だ。テレビやスマートフォン、タブレットでマスターズを観戦して、あらゆる動きを楽しみにして待ち、すべてのパットやドライバーショットを細かく分析するファンも世界中に何百万人といる。

 2015年のマスターズでは、ファンにさらなるボーナスが提供された。世界中のどこにいようともゴルフファンがマスターズにより近づけることを目指すテクノロジを、IBMが開発したのだ。

 同社のその最新のテクノロジが「Track」だ。

 狙いはシンプルである。IBMが目指しているのは、毎年開催されるマスターズを現地で観戦できないファンに、実際のプレーを可能な限り近くで感じてもらうようにすることだ。モバイルデバイスとウェブサイトを通して、ファンはコースを進むゴルフボールを文字通り追跡することができる。

 IBMはインターネットに接続したセンサ(いわゆる「モノのインターネット」(Internet of Things:IoTデバイス)からデータを取得し、生データをデジタルユーザーにとってもっと洞察を与えるものにしたいと考えている。数字が果てしなく並ぶスコアカードや表をウェブページに詰め込んでいたのは過去の話だ。IBMが目指しているのは、視聴者の求める中核的な情報を、取っつきにくい方法ではなく、魅力的な方法で提示することである。

 IBMのテクノロジマネージャーを務めるJohn Kent氏はランチミーティングで、「Trackは、ファンにとって、より魅力的なもの。ビジネス価値も提供するし、視聴者の拡大にもつながる」と述べた。

 その仕組みはこうだ。毎年マスターズの会場となるオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブのコースの至る所に多数のレーザーを配置する。これらのレーザーは、ボールの位置(3つの軸で位置を特定)やボールの停止位置など、さまざまなデータを生成し、IBMはそのデータをクラウドで処理して可視化する。それによって、詳しいプレー状況が可視化されるので、視聴者はボールの進む方向や各ドライバーショットの距離、そのほかの興味深いデータを操作して確認できる。しかも、これらのデータは一瞬で提示される。

 簡単に説明すると、ユーザーはどんなデバイスでも、マスターズのウェブサイトを開いて、ボールがコースをどう進んだのかを確認することができる。HTML5ウェブ標準を使用しているので、あらゆるスマートフォンとタブレットのユーザーが、シミュレートされたコースマップにアクセスできる。「iPad」ユーザーであれば、内蔵ジャイロスコープを使って、プレーをあらゆる角度から可視化できるという利点もある。

 IBMによると、そのセカンドスクリーン体験は、物理世界とデジタル世界をつなぐ役割を果たすという。この機能によって、より多くの人々がマスターズを観戦するようになることを同社は期待している(IBMにどのような利点があるのか、と疑問に思っている人のために説明すると、同社は何百万ドルもの価値がある長期スポンサーシップ契約を締結している)。

 IBMのグローバルスポンサーシップ担当バイスプレジデントのNoah Syken氏は、「われわれは収集したデータで物語を伝えようとしている。それはゴルフトーナメントを体験する全く新しい方法だ」と述べた。

 Trackは米国時間4月9日のトーナメント開幕日にマスターズの公式サイトで公開された。

 情報開示:本稿は、IBMの出張負担の下、執筆しています。

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提供:IBM/Masters.com

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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