編集部からのお知らせ
解説集:台頭するロボット市場のいま
解説集:データ活用で考えるデータの選び方

躍進する業界クラウドの今--数字とグラフで見る

Charles McLellan (ZDNet UK) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2015-04-15 06:15

 SaaSモデルで提供されているアプリケーションは多岐にわたり、会計・財務、分析やビジネスインテリジェンス、協調作業、顧客関係管理(CRM)、電子商取引、エンタープライズリソースプランニング(ERP)、人事(HR)、セキュリティなど、幅広いビジネス機能を扱っている。多くの企業がこれらの機能を必要としており、その結果、各分野の主要なSaaSプロバイダ(特にCRM分野のSalesforce)は大きな成功を収めている。

 しかし、1つのソフトウェアが必ずしもすべての種類の潜在顧客に適しているとは限らない。これが、水平展開型のSaaSベンダーが、APIを提供してサードパーティーがアプリケーションをカスタマイズできるようにしている理由の1つだ。しかし例えば、医療事業者がクラウドサービスを自組織の業務に合うようにカスタマイズするだけの手間と費用をかけられるケースは少ない。特定市場向けの重要な機能を求めているのであれば、その分野に詳しい専門的なソフトウェアベンダーが必要となるだろう。

 これが、特定市場のビジネス課題を解決するSaaSアプリケーションが増えている理由の1つだ。これは最近では、「業界クラウド」と呼ばれるようになっている。業界クラウドベンダーのターゲットとなっている市場の例には、医療、教育、不動産、法務、金融工学、運輸、エネルギー、製造、行政などがある。

 この考え方を後押ししている企業の1つが、ベンチャーキャピタルのEmergence Capital Partnersだ。同社は、成功する業界クラウド企業の特徴として、1)特定の分野に詳しい共同創業者または上級役員の存在、2)ユーザーデータから絞り込まれた顧客価値を生み出す能力、3)参照される頻度が高く顧客獲得コストが低いこと、4)高い市場シェアを獲得できる潜在能力を持つこと、5)クラウドインフラを利用した特定市場向けの複数のソリューション(例えばCRM、マーケティングの自動化、コンテンツ管理、データ分析など)を提供する「多層ケーキ」製品戦略を取っていること、という5つを挙げている。

 業界クラウドがどのくらい進展しているかを把握してもらうために、この記事では調査・コンサルティングファームのMontclareによる「SaaS 1000」と「SaaS 250」のリストと、特定市場を狙うSaaS企業に力を入れているEmergence Capital Partnersが発表したレポート「2014 Industry Cloud Landscape」について見てみよう。

MontclareのSaaS 1000、SaaS 250

SaaS 1000

 SaaS 1000は、1000社の「世界で最も競争力が高い」SaaS企業に対する、Montclareによる評価を収めたExcelシートだ。SaaS 1000の価格は995ドルで、企業名、ビジネスモデル(SaaSまたはハイブリッド)、2013年の収益(範囲)、公開企業か非公開企業か(公開企業の場合はティッカーシンボルを含む)、MontclareのSaaS 250ランキング(後述)、主なソリューション分野、ウェブサイトアドレス、住所、国、地域のデータが含まれている。

SaaS 250

 SaaS 250では、データセットを深く掘り下げ、「世界で最も影響力が強いSaaS企業」を追求している。SaaS 250は12カ月で2999ドルの会費制で提供され、データは定期的に更新される。専用のアルゴリズムを使用して各企業ごとに全部で60のデータポイントを分析した結果を元に、1000社の独立系ソフトウェアベンダーから上位250社が選ばれている。その結果が、説明文とランキング、グラフ、地図を、ブラウザベースの双方向インターフェースでパッケージングされた形で提供される。


 同社のウェブサイトではSaaS 250のリストさまざまなトップ10(全体、注目度、成長、革新性、公開企業、非公開企業、ハイブリッド、PaaS)が無料で提供されており、レポート作成時に使用された分析手法の詳細についても掲載されている。全体のトップ10リストには、世界でも有名なソフトウェア企業が並んでいる(Salesforce、LinkedIn、Dropbox、Workday、Google、NetSuite、Box、New Relic、Marketo、Zendesk)。

 次の各グラフは、SaaS 1000とSaaS 250の統計をまとめたものだ。


 「競争力が高い」SaaS 1000企業と「影響力が強い」SaaS 250企業を比べると、後者の方がビジネスモデルはハイブリッドよりも純粋なSaaSである傾向が強く、北米を拠点とし、公開企業である場合が多い。収益はSaaS 250企業の方が若干大きい傾向にあり、年間収益が2億5000万ドル以上の企業が29.6%であるのに対して、SaaS 1000企業では21.7%となっている。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

Special PR

特集

CIO

セキュリティ

スペシャル

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. クラウドコンピューティング

    AI導入に立ちはだかる「データ」「複雑さ」「コスト」「人材」の壁をどう乗り切ればいいのか?

  2. クラウドコンピューティング

    【IDC調査】2026年には75%のアプリがAIを実装!導入で遅れた企業はどう“逆転”すべきか?

  3. 運用管理

    経産省調査で明らかに:未だにレガシーシステムを抱える企業が8割!オープン化でよくある課題とは?

  4. 運用管理

    AWS東京リージョンの大規模障害に学ぶ、パブリッククラウド上のシステムの迅速な復旧方法

  5. windows-server

    【ユースケース】ソフトウェア開発にDell EMCインフラ+コンテナを使うメリット

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNet Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]