Montclareは各SaaSが提供する製品の種類の情報も提供しているが、どの市場でどれだけの収益を上げているかは追跡していない。SaaS 1000ではERPが最もソリューションが多い分野だが、SaaS 250ではマーケティングと協調作業が横並びでトップになっている。
Emergence Capital Partnersの「Industry Cloud Landscape」
Emergence Capital Partners(ECP)の2014年の調査は、特定市場向けのSaaS製品を作っている、218社の「業界クラウド」企業を対象にしている(前掲図を参照)。ベンチャーキャピタルである同社の主張は、これらの企業は「以前からある水平展開型のクラウド企業の多くよりも、より規模が大きく、より収益性が高くなる」というものだ。ECPのリストでは、最も取り組みが多い対象市場は医療分野であり、2位以下にかなりの差を付けている。
ECPが選定した218社の業界クラウド企業のうち、株式公開企業は6.9%(15社)しかない。それに対し、MontclareのSaaS 1000では34%(340社)、SaaS 250では47.6%(119社)が公開企業となっている。ECPによれば、2015年版のIndustry Cloud Landscapeでは20~30社が新たに追加され、法務、接客、運輸・ロジスティクスの各部門の企業が増えるという。
ECPが選んだ218社の業界クラウド企業のうち、MontclareのSaaS 1000にも登場するのは25社(11.5%)だけだ。この11.5%という数字は、特定市場に焦点を当てた企業は、SaaS市場全体の中ではまだ初期の段階にあることを意味している。以下のグラフは、SaaS 1000に含まれる業界クラウド企業に関する統計をまとめたものだ。
前掲のSaaS 1000とSaaS 250に関する同様の統計と比較すると、これらの業界クラウド企業は、ビジネスモデルが純粋なSaaSである可能性が高く、北米に本拠地があり、公開企業である傾向が強い。ECPが調査対象とした業界クラウド企業全体では公開企業が6.9%しかなかったことを考えると、業界クラウドのリストとSaaS 1000の両方に出てくる企業の56%が公開企業であるというのは、驚くべき差だ。これらの業界クラウド企業25社の中に、売上高10億ドルの壁を越えているものはないが、36%(9社)は2億5000万ドル以上の売上高を上げている。