情報処理推進機構(IPA)の技術本部セキュリティセンターは、サーバOS「Windows Server 2003」のサポート終了に伴う注意を改めて呼び掛けている
Windows Server 2003は7月15日にサポートが終了となる。OSのサポート終了後は、新たな脆弱性が発見されても修正プログラムが提供されない。
そのため、脆弱性を悪用した攻撃を受け、「サーバが乗っ取られる」「業務が停止する」「機密情報が漏洩する」などの被害に遭う可能性がありる。脆弱性は問題となっている内部不正への悪用も懸念されるため、企業や組織のリスク回避の観点からWindows Server 2003を利用するシステムは後継システムへの移行が求められる。
内部不正に悪用されるイメージ(IPA提供)
Windows Server 2003の脆弱性は、発売から10年以上経過した現在でも発見され続けている。IPAが運営する脆弱性対策情報データベース「JVN iPedia」には、Windows Server 2003の脆弱性対策情報が2014年4月~2015年3月に49件が登録された。サポート終了後にも、引き続き脆弱性が発見される懸念がある。
Windows Server 2003のJVN iPedia登録件数推移(2014年度、IPA提供)
脆弱性は内部不正や標的型攻撃に悪用される可能性がある。例えばファイルサーバやリモートデスクトップ用のターミナルサーバなど内部の閉じた環境に設置したサーバであっても、「権限昇格による機密情報の閲覧・窃取」「データやシステムの破壊」につながりかねない。
IPAの「2014年度情報セキュリティ事象被害状況調査」(報告書P.60「セキュリティパッチの適用」)で“セキュリティパッチをほとんど適用していない”と回答があった割合は「外部サーバには6.3%」「内部サーバにおいては16.8%」という結果があり、自組織内部のサーバへの油断が垣間見られる。外部サーバはもちろん、内部だけで使うサーバであっても、サポートが終了するソフトウェアを放置すべきではないとしている。
サポート終了をきっかけとして直ちに被害に遭うとは限らないが、サポート終了に伴う事業へのリスクを回避するために、今からでも移行計画を立案し、後継システムへ可能な限り早く移行させることが望まれると説明。企業や組織の管理者は自組織のシステムに使用しているソフトウェアのライフサイクルを常に念頭に、安全な運用の維持を心掛けておく必要がある。
Windows Server 2003後継OSのサポート終了予定日は「Windows Server 2008 R2」が2020年1月15日まで、「Windows Server 2012 R2」が2023年1月11日までとなっている。日本マイクロソフトではWindows Server 2003サポート終了に伴うセキュリティ上のリスクや移行相談窓口のページを公開している。