民生委員活動の課題はICTで解決できる--佐賀県の森本CIO - (page 2)

羽野三千世 (編集部) 2015年04月16日 06時30分

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 石井氏は、委員活動を効率化するアプリの利便性だけではなく、住民とのコミュニケーションツールとしてタブレット端末に魅力を感じているという。「民生委員は、住民との世間話の中から、その人が困っていることを聞き出して、行政の支援を受けられるように手配するのが職務だ。高齢者との雑談の中で、例えば、お子さんが務める会社のHPを見せてあげると大変喜ばれ、話も弾む」(石井氏)

 当初、実証研究は2014年6月末で終了し、一旦タブレット端末は回収される予定だったが、石井氏ら現場の民生委員から「タブレット端末を使い続けたい」との要望があったことを受けて、実証研究の期間を2015年3月末までに延長した。

 しかしながら、全国に23万人、佐賀県だけでも約2100人いる民生委員全員にタブレット端末を配布することには、予算の課題がある。

 民生委員は、市町村に設置された民生委員推進会が推薦した者を都道府県知事が推薦し、厚生労働大臣が委嘱することによって決定される制度になっており、佐賀県の場合では佐賀市保健福祉部、佐賀県地域福祉課、厚生労働省の3者が関わる事業である。タブレット端末の購入や通信サービス料金の予算をどの組織が持つのか、難しい調整が迫られる。

 今回の佐賀市本庄地区における実証研究は、ベンダー各社から製品サービスの無償提供を受けて予算ゼロで実施された。3月末で研究期間が終了した時点で、実導入への予算がつかないでいる。インテルが貸与したタブレット端末本体の継続使用は認められたものの、通信サービスなどの利用は停止している状態だ。

 CIOの森本氏は、実導入に向けた今後の展開について、次のように説明した。「民生委員活動へのICT導入は、県の地域福祉課だけにとどまるテーマではない。例えば、民生委員が高齢者世帯を訪問する際に、タブレット端末を使って認知症テストを実施することができれば、病気の早期発見と医療費削減につながる。また、民生委員が調査した地域の高齢者情報をICT活用によって警察と共有することで、徘徊する高齢者の捜索活動に協力できる。このように、医療や警察など、より大きな組織を巻き込んで予算化していくことが現実的だ」


(前段右から)佐賀県CIOの森本登志男氏、佐賀市 民生委員児童委員協議会 会長の 石井智俊氏、木村情報技術 取締役CIOの橋爪康知氏、(後段右から)佐賀市 保健福祉部 福祉総務課 福祉政策係長の牛島省吾氏、佐賀県 健康福祉本部 地域福祉課 副課長の門村友晴氏

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