カブドットコム証券は、処理性能が従来システムの約10倍となる新発注基盤システム「RAIDEN」を構築、2014年11月4日より本格稼働を開始した。製品を提供した日本オラクルとアシストが4月16日に発表した。
カブドットコム証券は、三菱UFJフィナンシャル・グループの中でリテールビジネスのネット戦略中核会社。同社では「顧客投資成績重視の経営」を経営理念に掲げ、完全システム内製化(自社開発・運用)を行っている。
今回の発注基盤システム構築プロジェクトは2013年5月より開始、近年の周辺動向に追随し、さらなる高速性や安定稼働を追求すべく、抜本的な刷新が行われた。
具体的には、2012年12月よりアベノミクスの影響による株式市場の急速な活性化により、新規口座開設数、約定件数などが前年比の倍以上となって、従来の他社製データベースでは発注システムの処理性能に課題が生じてきたこと、また2015年には東京証券取引所で高速システム「アローヘッド2」を導入予定であることが背景として挙げられている。
システムの中核となるデータベースに関しては、フロントシステム、発注システム、勘定システムの3つのシステムを連携させていたものを1つに統合する方式を採用。
従来のデータベースでは困難となっていた急速な増加が予測されるデータ量にも十分対応でき、可用性を大幅に高めることができる基盤として「Oracle Database」を採用したという。
採用のポイントは以下の3点。
- 拡張性と高可用性を両立できるデータベース・クラスタ技術「Oracle Real Application Clusters」により、従来のデータベースによる構成では限界があったサーバへのリソース追加によるスケールアウトが柔軟に行えるだけでなく、サーバを追加できるスケールアップ構成もとれるため、事業の成長に合わせて拡張していける。
- Oracle Real Application Clustersによる複数サーバ構成により、システム全体の処理能力を拡張できるだけでなく、障害発生時にはフェイルオーバー時間を極小化し処理を継続できるため、可用性が大幅に向上可能。
- Oracle Databaseの取り扱い実績が25年以上というアシストが提供するプロダクトサポートサービスへの信頼感があったとのこと。
カブドットコム証券では、Oracle RACの採用と合わせてプログラムリプレースを含めたRAIDENシステム全体の最適化を図っており、本格稼働を開始して以来トラブルもなく、処理性能が約10倍向上するなど大幅な改善が確認されているという。
また2015年以降、顧客がより直感的に操作できるよう画面の刷新に着手していく予定。
なお、カブドットコム証券ではRAIDENを自社のシステム基盤だけでなく、ネット証券としての基本サービス機能の外部提供を視野に入れた設計としているため、三菱東京UFJ銀行をはじめとする証券仲介やじぶん銀行などのASP形式での外部システム提供実績をもとに、グループ内外の証券会社をはじめ各金融機関などへの提供も検討している。