IT部門こそIoTシステム構築の鍵を握る--IBMのエキスパート - (page 2)

鈴木恭子 怒賀新也 (編集部)

2015-04-20 07:00

――LOBユーザーとIT部門とがいかに連携するかは、企業にとって重要課題の1つです。

 製造業の組織体制を考えてみてください。設計部門と運用部門、または設計者とユーザーがコミュニケーションし、何かを作り上げるということは、ほとんどありませんでした。各部門がサイロ化し、自分たちの業務フローでビジネスを回していました。

 しかしIoTは、彼らを連携させ、双方向かつリアルタイムでのやり取りを可能にします。極端な例ですが、自動車の製造工程でも、現場(ユーザー)から「この部分を改善してほしい」というレスポンスがあれば、それをすぐにフィードバックして改良するといったことができるのです。


――設計部門と運用部門の連携は、SoR(Systems of Record:記録のためのシステム)とSoE(Systems of Engagement:協働のシステム)の連携にも深く関係してきますね。

 その通りです。企業データの95%以上は、SoRに格納されています。今まではSoRがビジネスの根幹であり、競争優位性を保つ原動力と言われていました。しかし、先述したとおり、ウォーターフォール開発なので、変更するには手間と時間とコストがかかります。

 一方、SoEはコミュニケーションを支援する柔軟なシステムとして注目されていますが、SoEだけで新規ビジネスを思いつくことは、なかなか難しい。さらにIoTシステムが加わると、ライフサイクルも進化のスピードもバラバラです。重要なのは、これらを個別に扱うのではなく、相互に連携させ、それぞれの特性を生かすようにすることです。

 IoTやSoEの開発は、ベンチャー企業のほうが得意です。SoRを基幹システムとして開発/運用してきた大規模企業が、IoTやSoEを含めてすべて開発するには時間がかかる。「IoTを活用したビジネス」と聞くと、IoTだけに注目してしまいがちですが、これは間違いです。SoEやSoRと連携させてこそ、新たなビジネスが誕生するのです。

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