既に公然の秘密だったことが、PCサプライチェーンにおけるMicrosoftパートナーの1社によって裏付けられた(そうするつもりはなかったようだ)。Advanced Micro Devices(AMD)のプレジデント兼最高経営責任者(CEO)を務めるLisa Su氏の何気ない発言から、Microsoftが「Windows 10」の提供開始を7月末に予定していることが明らかになった(Microsoftは以前、提供開始日について「2015年夏」とだけ述べていた)。
しかし、その予定日が近づいてきたとき、具体的には何が起こるのだろうか。ここから、Microsoftの事業計画に関して興味深い疑問がいくつか生じる。
Windows 10アップグレードプログラムは、史上最大のソフトウェア配布プロジェクトの1つになるだろう。Microsoftは、現在「Windows 7」または「Windows 8.1」を搭載するすべてのPCに完全なアップグレードを無料で提供する予定だ(無料アップグレード対象外の「Enterprise Edition」搭載PCは除く)。
それは、2Gバイト以上のアップグレードパッケージが各PCにダウンロードされることを意味する。
では、Windows 10へのアップグレード対象となるPCの台数は、どれくらいの規模なのだろうか。億単位であることは間違いない。世界190カ国で111の言語のWindows搭載PCが使用されている。
Appleは数年前から「OS X」のアップグレードを無償提供しているが、規模はこれより小さい。MicrosoftのWindows 8.1へのアップグレードプログラムはOS Xのものより大規模だったはずだが、それでも全世界のPCインストールベースに占める割合はわずかだった。
実は、よく見える場所にロードマップが隠されている。先ごろWindows 7とWindows 8.1向けにリリースされた任意のアップデートに含まれているのだ。そのアップデートとともにインストールされるXMLファイルの中に、「GWX」、すなわち「Get Windows 10」というプログラムについての重要な手がかりがある。
KB3035583の説明は次のような無味乾燥なものだ。「この更新プログラムは新しい更新プログラムがユーザーに利用可能なときに Windows の更新の通知の追加機能を使用できます。8.1 の Windows または Windows 7 Service Pack 1 (SP1) を実行しているコンピューターに適用されます」
それだけだ。本当に、これが説明の全文だ。ただし、KB3035583の記事には、このアップデートに含まれるファイルについての記述もある。ほとんどのファイルの名前にはGWXという頭字語が含まれる。
ファイルの詳細を見るとわかるように、GWXはGet Windows 10の頭字語だ。
このアップデートでは、スケジュールされたタスクが4件セットアップされる。その1つによって、ダウンロードとその後のアップグレードの必要条件を確認する「appraiser」(鑑定)アプリが実行される。さらに、GWXフォルダ内のXMLファイルには、アップデートをインストールした後のさまざまな段階のロードマップが収められている。
最初の段階は「Anticipation UX」だ。あらかじめ定義された3種類のサイズのいずれかで、ポップアップ広告が表示される。おそらく、「Windows 10 is coming. Get excited!」(Windows 10がまもなく登場。乞うご期待)といった宣伝文句だろう。
次の段階には、「Reservation Page」(予約ページ)という名前が付けられている。筆者の考えでは、これはオプトインページだ。この一連の広告を見たユーザーがプロセスについて読んだ上で承認すれば、アップグレードできるようになるのではないだろうか。
それ以降の段階は、「Upgrading」(アップグレード)、「Download In Progress」(ダウンロード中)、「Download Complete」(ダウンロード完了)、「Ready for Setup」(セットアップ準備完了)、「Setup in Progress」(セットアップ中)、「Setup Complete」(セットアップ完了)といった機械的なものだ。
全体的なプロセスは、「Windows Insider」プログラムのメンバーにはなじみ深いイベントの流れに似ている。アップデートにオプトインすると、アップグレードファイルの配信が有効化され、それらのファイルがバックグラウンドでダウンロードされた後にインストールされる。ユーザー側で必要な操作は最小限に抑えられている。