TPP実現で食材輸入企業は全般にメリットを受ける

ZDNet Japan Staff 2015年04月22日 10時20分

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 4月21日の日経平均は274円高の1万9909円だった。中国の追加金融緩和を好感し、欧米株式が上昇した流れを受けて、大幅上昇となった。

 今、TPPへの日本の参加実現に向けて、米国と大詰めの交渉が行われている。コメ、自動車で、双方がどれだけ歩み寄れるかが鍵となっている。21日未明まで続いた日米閣僚会議で合意に至ることはできないまでも、「双方の主張の隔たりは狭まった」とされている。28日の日米首脳会談までに、合意に至ることができるのか、予断を許さない。

 今日は、楽天証券経済研究所のチーフストラテジスト窪田真之氏が、TPPが実現した時に、メリットを受ける株について解説する。

輸出入にかかわる企業はTPP実現なら何らかの恩恵を受ける

 TPPで恩恵を受ける銘柄の幅は広い。TPPの最大の眼目は、輸出入にかかる関税を原則すべてゼロにすることにあるからだ。日本からの輸出品に外国(TPP加盟国(注))がかける関税、外国からの輸入品に日本がかける関税が、原則ゼロになる。TPPは「聖域なき関税撤廃」を旗印にしているからだ。

 (注)TPP加盟11カ国:米国、カナダ、メキシコ、ペルー、チリ、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、マレーシア、ベトナム、ブルネイ

 ただし、関税撤廃の原則がすべて守られるとは限らない。関税が残る「例外品」がいろいろ作られる可能性もある。たとえば、自動車。TPP加盟国は、自動車産業で圧倒的なパワーを持つ日本が、TPPに入ってくることを非常に恐れている。米国の自動車産業は「自動車分野は例外にしろ」と、政府に圧力をかけている。

 日本は、農産物5品目「コメ、麦、牛肉豚肉、乳製品、砂糖」の輸入を例外にする方向で交渉している。ただ、この5品目をすべて例外にしたままでは、日本のTPP加盟自体が認められないだろう。日本は、例外5品目の関税を下げ、米国は自動車分野の関税を下げていくなんらかの妥協が必要となるだろう。

TPPでメリットを受けるのは、食材輸入と自動車

 関税がすべて撤廃されることを前提とすると、輸出入で今、高い関税を払っている企業が注目される。輸入では、まず38.5%の高い関税がかかっている牛肉輸入企業、輸出では米国で25%の関税がかかっているトラック輸出企業が挙げられる。

 聖域なき関税撤廃が旗印のTPPで、この高関税がそのまま残ることはないと予想される。すぐに関税ゼロは無理なので、長期的に引き下げていく方針が打ち出されるだろう。ショックが大きくならないよう、10年以上かけて関税率を下げる案が採用される可能性もある。

 トラック以外の自動車関連(完成車および部品)には、米国で2.5%の関税がかかっているが、ここも長期的にゼロに向かって引き下げていく方針が示されるものと予想される。

TPPでメリットを受ける牛肉輸入企業

 さて、牛肉輸入が多い企業では、まず吉野家HLDG(9861)、ゼンショーHLDG(7550)、松屋フーズ(9887)の牛丼3社や、ハンバーガー大手の日本マクドナルドHLDG(2702)が挙げられる。もし、牛肉の輸入関税がゼロになれば、これらの企業に大きな恩恵が及ぶ。

 ただし、「すきや」を展開するゼンショーHLDGは人手不足、日本マクドナルドHLDGは異物混入問題で業績が悪化しており、TPPメリットだけに注目して投資するべきではないだろう。投資するならば、「牛すき鍋膳」など単価の高いメニューの成功で好調な吉野家HLDGに絞った方がいいだろう。

自動車輸出で注目できるトラック

 さて、輸出で注目できるのは、米国で25%の高い関税がかかるトラックだ。トラックの関税率引き下げがあれば、いすゞ自動車(7202)、日野自動車(7205)がメリットを受ける。また、自動車関連全般(完成車・部品)に米国でかかる関税2.5%をゼロにしていく方針が示されれば、トヨタ自動車(7203)など自動車各社がメリットを受ける。

 ただし、米国が日本の自動車を簡単に聖域からはずす可能性は低いといえる。かなり長い年月をかけて関税を引き下げていくことが妥協策として示される可能性はある。関税ゼロまで10年以上かけるという話になると、短期的な恩恵は小さくなる可能性もある。

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