サンフランシスコ発--ファイルを保存管理するためのクラウドプラットフォームを提供するBoxは米国時間4月22日、同社のプラットフォームのアップグレードをBox Devイベントで発表した。これにより同社は、エンタープライズレベルのセキュリティ性能を備えた先進的なコンテンツ管理および共同作業サービスの構築能力を開発者に与えると約束している。
Boxのプラットフォームエンジニアリングチームの責任者であるHeidi Williams氏は、「Box Developer Edition」を発表した。これは、エンタープライズ向けのBoxアプリを開発するツールと、コンテンツの所有権やユーザー統制、セキュリティ管理のための機能から構成された完全なBoxインスタンスを開発者に提供するものだ。限定ユーザーを対象としたベータ版の提供は既に開始されており、Boxの開発者部門を通じて入手することが可能だ。
またBoxは、モバイルアプリ開発を活性化させるため、同社のモバイルアプリを「再利用可能なコンポーネント」に細分化し、コンテンツと閲覧、共有、プレビューという4つの新たなSDKを通じて開発者らがそれらを選択、利用できるようにしている。
Boxのモバイルチームにおけるグループ製品マネージャーであるVanessa Larco氏は「たいていの場合、SDKは非常にパワフルだが、統合が複雑になる傾向もある」と語った。そのうえで同氏は、追加機能の構築や統合の可能性に向けたオープンソースの力を強調した。
Larco氏は、Boxの「Preview SDK」(プレビュー用のSDK)を使えば「コードを1行記述するだけで、数百種類のファイル形式をサポートできるようになる」と述べた。このPreview SDKはまだリリースされていないが、「Content SDK」(コンテンツ用のSDK)と「Browse SDK」(閲覧用のSDK)、「Share SDK」(共有用のSDK)は既に利用可能となっている。
Boxのプラットフォーム担当ディレクターであるRyan Damico氏は「コンテンツは至るところにある。所有しているあらゆる機器上や、さまざまな業界が使っているアプリ上にも」と述べたうえで、開発者としてこのような変動要素すべてを考慮するのは難しいと続けた。
こういった問題を緩和するために「Box Content Services」が導入された。これは、Damico氏の言う「世の中に存在する実質的にすべてのファイル形式」を管理し、組織化するための技術をまとめあげたものだ。同氏はその後、ファイル形式を150種あまりに絞り込んだ。
「Box View」の透かしツールと拡張はさておき、同社は最近買収した新興企業Veroldの技術を利用して、ウェブブラウザ内で3Dオブジェクトを描画するツールを開発している。これは教育分野や小売分野、エンターテインメント分野で活用できるはずだ。
Boxの最高経営責任者(CEO)Aaron Levie氏は「ユーザーがデジタル企業のための驚くべきアプリを開発するうえでの手助けをしたいという思いがわれわれの使命の中核にある」と述べたが、同氏は素晴らしいアプリだけでは十分でないことも認めた。
Boxは、クラウド分野のワンストップショップになるとともに、新興企業のための発射台となる道を突き進んでいる。同社は手始めとして、ベンチャーキャピタルパートナーと組み、Boxプラットフォーム上でビジネスを展開する新興企業向けに4000万ドルのファンドを創設しようとしているところだ。また、この計画は今のところまだ整備段階だが、最終的には開発者や起業家に対する技術的なサポートと、市場展開に向けたサポートを提供するとともに、IT分野のバイヤーへの引き合わせも計画している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。