セールスフォース、「Salesforce for HR」を発表--従業員エンゲージメント重視のプラットフォーム

Larry Dignan (ZDNet.com) 翻訳校正: 編集部 2015年04月24日 13時58分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 クラウド大手のSalesforce.comは米国時間4月23日、人材活用という視点に立った市場拡大の取り組みの一環である「Salesforce for HR」を発表した。これにより、OracleやWorkdayといった企業と特定の領域で戦いが繰り広げられる可能性もある。

 Salesforce.comにとって、人材管理分野への進出は自社のプレゼンスを大きく高めるという意味を持っている。同社は最近、「Salesforce Analytics Cloud」をローンチしており、エンタープライズ向けのクラウドアプリ一式を取りそろえた企業を目指して突き進んでいるようだ。

 同社は今回の取り組みについて「従業員のサクセスプラットフォーム」と銘打っており、企業が顧客に対して用いるSalesforce.comのツールやアプローチを、従業員のエンゲージメントにも使えるようにすることを目的としている。なお、シカゴでの顧客向けのイベント「Salesforce World Tour Chicago」で、同社の最高経営責任者(CEO)Marc Benioff氏がSalesforce for HRの概要を説明する予定だ。

 Salesforce.comによると、Salesforce for HRは同社のクラウドやソーシャルツール、モバイルツール、データサイエンスツール上に構築されているという。Salesforce for HRは当初、既存の人的資源管理システムを補完するものとして、そしてエンゲージメントツールになるものとしてローンチされる。


 同社の製品マーケティングディレクターであるBobby Amezaga氏はインタビューで、Salesforce.comは同社のテクノロジを、顧客が自らのものとして活用できるようにしていると述べている。そういった点で、企業が顧客のエンゲージメントを図る際と同様に、同社の「Service Cloud」を用いて従業員のエンゲージメントを図ることになる。

 同社の戦略が理論的にうまく機能するのは、Workdayといった企業のツールがレコードや財務データなどに注力している一方、Salesforce for HRは従業員のコミュニケーションやコラボレーション、つながりを強化するエンゲージメントツールになるべく注力しているためだ。興味深いことに、多くの人事管理システムも、ソーシャル面やコラボレーション面でのレイヤを追加し始めている。

 Salesforce for HRは以下のようなシナリオを想定している。

  • 従業員のジャーニー:従業員の入社から育成に至るまで、複数の手段を用いて1対1のエンゲージメントを提供する。
  • コミュニティー:コラボレーションのためのコミュニティーを実現する。
  • 人材管理ヘルプデスク:Service Cloudプラットフォームを用いてセルフサービス型のヘルプデスクを実現する。
  • アナリティックス:才能の評価や生産性指標の分析機能を提供する。
  • モバイルアプリ:従業員を業務プロセスと結びつける。AppirioやDeloitte、Jobscience、Lumesseが当初からのパートナーとなっている。

 Salesforce.comの顧客がSalesforce for HRを、既に自社に存在しているシステムを補完するものとして考えるかどうかはまだ分からない。

 なお、Salesforce for HRでは、顧客の環境に合わせてある程度カスタマイズして実装することが想定されている。Salesforceプラットフォーム上にカスタムのモバイルアプリを構築し、必要な情報をHRシステムに連携させることができる。

 このアプローチは、Salesforceがエンタープライズの分野でレガシーなSAPやOracleのシステムに対して、いかにフロントエンドであるかということと同じようである。「従業員は、従属的な立場ではなく顧客のような待遇を受けたいと考えている」とAmezaga氏は述べた。「従業員はエンゲージしていなければ、去ってしまうだろう」(Amezaga氏)

 Salesforce for HRが興味深いものとなってくるのは、企業の幹部らが既にWorkdayに投資し、リテンションやオンボーディング、分析のアプリケーションを利用している場合である。従業員のエンゲージに関して、Salesforceのフロントエンドを必要としているかどうか、企業の幹部らは判断する必要が出てくるだろう。

 結局、SalesforceとWorkdayの争いというのは大げさなようだが、考えさせられることではある。両社には、置き換えようとするレガシーなHRアプリケーションの分野が幅広くあるのだから。





この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

連載

CIO
シェアリングエコノミーの衝撃
デジタル“失敗学”
コンサルティング現場のカラクリ
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「展望2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
エンドポイントセキュリティの4つの「基礎」
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
ネットワークセキュリティの要諦
セキュリティの論点
スペシャル
エンタープライズAIの隆盛
インシュアテックで変わる保険業界
顧客は勝手に育たない--MAツール導入の心得
「ひとり情シス」の本当のところ
ざっくり解決!SNS担当者お悩み相談室
生産性向上に効くビジネスITツール最前線
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell Technologies World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
吉田行男「より賢く活用するためのOSS最新動向」
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
日本株展望
企業決算
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]