テック系スタートアップが集うイベント「SLUSH ASIA」が4月24日に開催された。今回はアジア初の開催となる。
SLUSHはフィンランドに2008年に始まったスタートアップ向けのイベントであり、今回はアジア向けの特別開催という位置づけだ。あたかも音楽フェスのような照明やドームで構成され、起業家はロックスターのような扱いをうける。世界を変え得る起業家やイノベーターは若者に憧れられる存在であるという考えからだ。
SLUSH ASIA 音楽フェスのような体裁
若者に起業思考を促すためにスタートし、2008年の初開催時200人程度だった参加者が2014年には世界約80カ国から1万4000人が集まる規模のイベントに成長した。今ではフィンランド大統領や中国副主席、エストニア大統領など、各国の首脳陣などが集まる場にもなっているという。
イベントのために組まれたドーム型テント「ホワイトロック」は、翌日には解体された。受付には、SaaS型イベント管理Peatixの受付システム「ColorSync」を採用。受付まで最新のテクノロジが導入されたイベントだった
東京で開催されたイベントでありながら全編英語でのイベントであることも、特徴の1つだ。これは海外の投資家から日本の起業家への投資を促す目的があるとともに、日本だけではない「アジア」全体のイベントであることを銘打っているためだ。実際、10カ国以上からゲストスピーカーが集まり、スタートアップ250組は20カ国以上から集結した。会場は、イベントのために組まれたドーム型テント「ホワイトロック」だ。
SLUSH ASIA開催へ向けて始動したのはこの1月。ヘルシンキのSLUSHと連携し、アジア初のイベントということで、3カ月強で築き上げたという。
70フィートのドーム型テントには、応募の中から選ばれた国内から6割、国外から4割の50組のスタートアップが登壇。アプリをインストールせず、サービスの体験ができるプレイアブル広告「AdPlay」をプレゼンテーションした台湾のVMFiveが優勝した。優勝理由はプレゼンテーションと、ビジョンが明確であったためと、ユーザーが楽しめる広告の可能性を追及したものであったためという。
(SLUSH ASIA提供)
デモが見える現在進行形のIoT
小笠原治氏
電動バイクzecOO
会場の「Demo Stage/Demo Area」では、モノのインターネット(IoT)領域など、ハードウェアのデモを見ることができた。カギをスマートフォンであけることができる「スマートロック」や、従来価格からは格安となる数十万円で利用できる義手、電動バイクなどを展開する多くのスタートアップに交じり、テクノロジを提供しているインテルやIBMの姿も見える。
エリアの監修に携わった小笠原治氏は「ITの業界のソフトウェア技術がより多くのハードウェアに必要になる。ITとハードがもっと混ざってほしいと展示を企画した」と話す。
例えばインテルはIoTの開発ボード「Edison」を使って、ハードとソフトの融合を目指しているという。(企業規模の)大小の差ではなく、新時代のハード作成に取り組んでいる若者たちとともに展示したいとして参加しているとのこと。
IBMもPaaS「Bluemix」を開発基盤に展開し、人工知能「Watson」をどうハードウェアに連携させるか、構想を得る一助にもなっているとした。大企業も形を変えつつあるITに対応するために、スタートアップとの連携を進めていることがうかがえる。