70歳を超えたMichael Stonebraker氏は気楽になってもよさそうなものだが、どうやらそうではないようだ。データベース研究のパイオニアである同氏は、いまだに週の大半をマサチューセッツ工科大学(MIT)で過ごし、残りの時間は自身で立ち上げたスタートアップ企業の仕事をしている。
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その上、同氏は最近、「現代のデータベースシステムの基盤となる概念や慣行に対して基礎的な貢献をした」として、毎年計算機科学に貢献した人物に与えられるチューリング賞を受賞したところだ。
現在この賞はGoogleの協賛を受けており、受賞者には100万ドルの賞金が与えられる。過去の受賞者には、Alan Kay氏(オブジェクト指向プログラミングとSmalltalkの開発に対して)やDoug Engelbart氏(マウス、ハイパーテキスト、分割画面でのプログラミングに対して)などがいる。
Stonebraker氏の業績には、初の完全にリレーショナルなデータベースである「Ingres」や「Postgres」の開発も含まれている。米ZDNetはStonebraker氏にインタビューし、同氏が何を目指しており、リレーショナルデータベースの将来をどう考えているかを聞いた。
ZDNet:チューリング賞の受賞おめでとうございます。賞金の使い道はもう考えましたか?
Stonebraker氏:まだ自分がこの賞を受賞したということが信じられないでおり、数多くのジャーナリストの取材や写真撮影の申し込みに対応しているところです。突然、本当にものすごく忙しくなりました。
わたしはブルーグラスバンジョーを弾くので、おそらくいいバンジョーを1つ買い、その後は研究にいくらかお金を使います。残りについてはまだわかりません。
--週の大半はMITで働いているようですが、他の時間は何をしていますか?
わたしはほかにも3つのスタートアップ企業で最高技術責任者(CTO)を務めているので、週に4日はMITにいて、残りは大学外で活動しています。
--最近受けたインタビューでは、Oracleのような企業がデータベース市場で長い間支配的な地位にあることについて、そういう時期は終わったという意味のことを話されていましたね。今でもそう思われますか?
2000年頃までのデータベース市場は、「1つのサイズですべてをまかなう」時代でしたし、その頃は「Oracleが答え」でした。1つしか道具がなければ、あらゆることにそれを使うしかないでしょう。
しかしその状況は2000年代の最初の10年で急激に変わりました。
今のデータベース市場は3分の1がトランザクション処理であり、3分の1がデータウェアハウスであり、残り3分の1をそのほか全部が占めているとわたしは考えています。この15年間で起こったことは、データウェアハウス市場をほとんど完全にロウストアからカラムストアに変えました。今ではカラムストアはロウストアよりも圧倒的に高速です。
これによって、ロウストアを売っていた従来のデータベースベンダーは、技術的に間違った側になってしまったのです。
トランザクション処理の世界でも、メインメモリが十分に安くなったため、すべてではないにしても、トランザクションデータベースのほとんどをメインメモリに置けるようになりました。