2社の争い
AWSは有利なスタートを切っただけでなく、開発者の忠誠心にも恵まれ、途切れることがないと言えるほど頻繁に製品強化を行っている。それによって、常に他のクラウドのはるか先を行き、熾烈な価格戦争の中でも安定して利益を出すことができている。
一方、Microsoftは、企業のAzureクラウドへの移行を支援しつつも、法人顧客がこれまでに投資してきたWindows中心のデータセンターの維持管理を容易にすることができる。さらに、Microsoftは何十年にもわたって各社の最高技術責任者(CTO)と良好な信頼関係を築き上げてきたため、クラウドの安全な選択肢でもある。
さらに、Wells FargoのアナリストであるJason Maynard氏が指摘するように、MicrosoftのAzureは「一から作り直されたものであること、コンシューマーインターネットの規模、そしてWindows開発者ベースの規模から恩恵を得ている」。最後の一点は特に重要だ。
両社は2大勝者であり、他社は視界に入らない。
プライベートクラウドベンダーは、パブリッククラウドが完全な支配に向かうのに歯止めをかけることができるだろうか?その可能性は低いだろう。
確かにMicrosoftはハイブリッドなアプローチによって、クラウド事業のリスクを回避している。しかしGartnerによると、新しい急増中のワークロードのほとんどが直接パブリッククラウドで運用されることにより、パブリッククラウドはプライベートクラウドよりも急速に成長しているという。

Microsoftは短期的な適合性を、パブリッククラウドとプライベートクラウドの組み合わせによって実現しているようだが、長期的な存続能力は、AWSよりもさらに成長を加速する能力にかかっている。
Financial Times(要購読)によると、AWSのシニアバイスプレジデントであるAndy Jassy氏は、クラウド事業がいつか同社の610億ドル規模の小売事業を抜くと考えている。これは膨大な規模のクラウドであり、Microsoftが超えるには大きな隔たりだ。しかし、MicrosoftとAWSは激しく競争する好敵手同士であることに変わりはない。両社がクラウドを支配しているのだから。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。