こうしてさまざまな範囲拡大が実現すれば、例えば引っ越しの際には、住民票の転入出手続きと同時に、ライフラインである電気、ガス、水道、そして銀行やクレジットカードなどの金融サービス、さらには郵便局や宅配業者、電話やネットの回線業者、果てはかかりつけの病院といった各々の住所変更まで、煩わしい手続きが一度で済んでしまうようになるかもしれません。
今後はマイナンバーを窓口で伝えれば、まずは源泉徴収票や住民票などといったこれまでの必要証明書が不要になる、そうした行政手続きもいずれ増えてくるでしょう。
しかしながら、国の機関がマイナンバーをオンラインで授受するようになるのは2017年1月を予定しており、地方自治体の対応はさらに遅く同年7月以降の予定です。
また、私たちがウェブ上で個人ページを閲覧できるようになるのも2017年からの予定です。なお、このウェブページにアクセスする際は前述のカードが必要になるようです。
カードに埋め込まれたICチップをPCやタブレットなどの読み取り端末にかざして認証、そしてパスワードによる認証、この2つがアクセスには必要となる予定だそうです。
このように、現段階ではまだまだ課題も多く、方向性としてはさまざまな分野の情報に紐付いていくことになると思います。このマイナンバー、お役所にも被付与側にも、導入のメリットは名寄せの利便性、手間の削減やそれに伴う処理速度の向上といった辺りに集約されるのではないでしょうか。
一方、個人特定可能なマイナンバーが今後どんどんさまざまな属性情報と紐付いていけば、有事の際の危険度は飛躍的に高まるわけです。
その利便性が本当に情報保護の観点からのリスクを踏まえてでも実施すべき、必要なものなのかどうか、そしてリスクヘッジはどういう形で、本当に万全になされるのか、その安全性を担保するためのロードマップは適切かつ無理のないスケジュールで引かれているのか、といった辺りが気になります。
さて、ともあれ既に実施されることは決まっています。それも開始までもう残り5カ月弱です。ここからが今回の本題とも言えますが、企業側の(直近の)マイナンバー対応について考えてみましょう。
先に挙げたようにいまだ検討中の事項も多いのですが、今後マイナンバーを記載する必要のある帳票(調書・届出書類)は、社会保障、国税、地方税、防災の各事務に係る関係省令によって詳細が規定されます。
そして、国税に関する帳票などは国税庁のウェブサイトで、社会保障に関する届出書類の様式などは厚生労働省のウェブサイトで公表されます。