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IoTの進化形は「新たなリアリティ」と「仮想現実」--PTCが示した半歩先の未来 - (page 2)

鈴木恭子

2015-05-08 16:11

仮想現実で製品の稼働状況をリアルタイムに把握する

 基調講演では、フィジカルとデジタルが融合したスマートコネクテッドプロダクトの事例として、米Santa Cruz Bicyclesと共同で開発中の“スマートコネクテッドマウンテンバイク”が披露された。

スマートコネクテッドマウンテンバイク
Santa Cruz Bicyclesと共同開発中の“スマートコネクテッドマウンテンバイク”。ARMベースのシングルボードコンピュータ「Raspberry Pi」も搭載されており、センサカメラ付きデバイスをかざすと稼働状況を可視化できる

 これはペダルやブレーキ、車輪の部分にセンサを取り付け、サスペンションの圧縮やタイヤの回転数、ブレーキの使用状況といったデータを収集し、ThingWorxプラットフォーム上で開発されたアプリケーションで分析、可視化するというもの。例えば、前輪と後輪の回転数に大きな差異があれば、スリップしている可能性があるのでアラートを上げるといったことが可能になる。

 さらに同データをCreoと連携させることで、自転車のアバターをCreo上で動かすことも可能になる。Heppelmann氏は、「モノの世界で起こっている事象を、デジタルの世界でストリーミングすることが可能だ。こうした仮想現実の技術を活用すれば、技術者が(モノのある)現地に行かなくても、製品の稼働状況を把握できる」と自信を見せる。

ThingWorxのダッシュボードでスマートコネクテッドマウンテンバイクの稼働状況を可視化したところ
ThingWorxのダッシュボードでスマートコネクテッドマウンテンバイクの稼働状況を可視化したところ

 IoTで収集した情報をダイレクトに設計や製造の部門にフィードバックし、製品改良やマーケティング戦略に役立てるといった動きは活発化している。さらに、複数のモノから収集される膨大なデータ(ビッグデータ)を複合的に分析することで、今まで収集が困難であった顧客の潜在的なニーズをデータとして詳らかにしたり、新たな知見から新しいサービスを提供したりといった取り組みも始まっている。

 その際に重要なのが、分析プラットフォームだ。同氏は「IoTで収集したデータを(製品改良などの)価値ある情報に“昇華”させるためには、分析が必要だ」とし、ビッグデータ分析や機械学習を手掛ける米ColdLightを買収することを明らかにした。

企業買収でアナリティクス分野を強化

 かねてから同社は、開発からデザイン、製造、運用、サービスまでの“クローズドループライフサイクル”の連携を強固にする必要性を訴えており、そのためのデータ解析分野を強化するとしていた。今回の買収は、それを実現したものと言える。買収金額は1億500万ドルで、買収完了は5月を予定しているという。

 ペンシルベニア州に拠点を構えるColdLightは、機械学習による予測分析プラットフォーム「Neuron」を提供している。Neuronは、IoTで収集されるストリーミングデータをパターン認識し、機械学習の技術を使って障害の発生率を予測する。そのうえで、コスト最適化の観点からユーザーがどのようなアクションを取るべきかを推奨するというものだ。

Ryan Caplan氏
ColdLight CEO Ryan Caplan氏

 ColdLightではNeuronについて、「製造ラインでの故障予測や製造個数の最適化をはじめ、小売り実店舗における消費者行動の把握と店舗の改善、保険業界の医療費の最適化、患者の発作予兆、さらに、規制に対するコンプライアンス遵守など、さまざまな用途に活用できる」としている。Heppelmann氏は「ColdLightの分析技術を(PTCの)IoTデータ分析の中核に据え、ThingWorxとシームレスに連携させていく」と語っている。

 基調講演には、ColdLightでCEOを務めるRyan Caplan氏も登壇。「われわれはPTCのデータ分析戦略に共感しており(買収を)歓迎している。ColdLightは、IoTのストリーミングデータから『予知モデル』を提供しており、特に製造業分野の顧客に価値を提供できると確信している」とコメントした。

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