パッケージ化されたテクノロジだけで勝てるのか
勝つためには守るだけでなく、攻めなければならない。一方で、パッケージ化された技術は、業務部門にとって採用が容易であるものの、ただ導入すれば勝てるというものでもない。
パッケージを使うということは、競合他社と同じものを使うことであり、差別化は望めない。横並びの中、勝敗を分けるもの――それがデータである。
マーケティング領域における具体例を挙げよう。ECを展開する企業がよく導入しているのが、ウェブ分析ソフトウェアである。
有償、無償、ビーコン型、ログ型など、差異はあれども市場には選択肢があふれ、パッケージ化されているから容易に導入できる。当然、楽天やAmazonといったEC事業者でなければ、ウェブ分析ソフトウェアを基幹システムとは考えていない。
企業のマーケティングの実務を下支えするテクノロジの具体例は、利用目的を類型化するならば、「顧客識別」「顧客理解」「顧客とのコミュニケーション」に大別される。
サイト訪問者は見込み顧客か優良顧客か、潜在的な購入金額はいくらか、その人に何を勧めるべきか。
そこまでアクションにつなげられて、はじめて効果が出る。だが、各顧客と深いつながりを持つためには、収集したデータを使って、ユニークユーザーとして顧客を識別した程度では十分ではない。
「(ECで)10万人の来店があり、そのうち1万人が購入、売上合計は100万円でした。購入に至らなかった残りの9万人もログインしていなかったので誰が何を検討していたのかも分かりません」という状態では、「顧客とのコミュニケーション」の施策検討にはつながらないだろう。