常にエンドユーザーのことを考える--Steve Jobs氏
Steve Jobs氏とそのイノベーションの才能について書いたものは多くあるが、あまり言及されていないのは、 同氏が製品が提供するプロセスや機能よりも、製品のユーザーに焦点を当てたことだ。従来のIT業界は、長年の間プロセスや機能を重視してきたが、Jobs氏が切り開いた考え方がゆっくりと他の領域にも浸透しつつある。イノベーションを成功させるには、それがある行動のための手段として現在の手段よりも優れていることを、ユーザーに分かりやすく訴えかける必要がある。Jobs氏ほど明快に主張しているわけではないにせよ、多くのイノベーターは自分の発明をユーザーに伝えることに天賦の才能を持っており、製品のデザインや外見を磨いて、エンドユーザーにそれを選ぶことが自然で、既存の製品よりも明らかに優れていると思わせることに力を注いでいる。
イノベーションのための「リミックス」の技術--Jessica Jackley氏とMatt Flannery氏
Kiva.orgの共同創業者2人は、少額融資とクラウドソーシングという2つのテクニックを組み合わせて、世界の貧困を緩和するプラットフォームを作り出した。Kivaでは、開発途上国の人々がビジネスを始めたり、育てたりして、最終的には収入を増やせるように、小規模な「少額融資」事業を行っており、この事業に一般の人が寄付できるようにしている。金融業界のテクニックを異例の形で貧困緩和事業に適用したこのやり方を、ウェブプラットフォームと組み合わせることによって、普通の人たちが簡単にマイクロローンについて知り、資金を提供できるようになった。これにより、Kivaは最も成功した少額融資プラットフォームの1つとなった。あるテクノロジやテクニックがこれまである業界で使われてこなかった、あるいはまったく異なるやり方で使われてきたとしても、それを「リミックス」して自分の会社に適用する可能性を排除すべきではない。
資産を有効利用する--Marc Benioff氏
Marc Benioff氏は世界中で最も成功したSaaS(Software as a Service)プラットフォームの1つである、Salesforce.comのCRMアプリケーション作った人物だ。この製品はいくつもの業界で革命を起こし、企業がソフトウェアを利用する方法と、その対価の支払い方を再定義した。Benioff氏は、Salesforceのプラットフォームを改善し続け、製品ラインを拡充し続けるのと同時に、Salesforceの核となるアーキテクチャを、独自性が高く魅力的なプラットフォームに変えて製品化し、このSalesforceのバックエンドを、Force.comプラットフォームとして消費者に提供している。多くの企業は(そして個人でさえも)、資産の構築に力を尽くし、資金投入が終わった後にも「隠れた資産」を持っていることが多いが、その潜在能力をフルに引き出すことはできないでいる。10年物のERPプラットフォームから、社内の部門にいたるまで、強化し、再利用し、興味深く革新的な製品として再び売り出すことが可能な資産は探せばいろいろあるかもしれない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。