東芝と日本IBMは、ドライブレコーダやGPSなどの従来の情報にドライバーの生体情報を加え、安心、安全、省エネルギーを実現する自動車運行管理分野で協力していく。5月14日に発表した。
東芝は2015年中に欧州などで実証実験を開始する予定。将来的には運送会社やタクシー会社、保険会社など幅広い企業へのサービス提供を目指す。
(日本IBM提供)
自動車の運行監視管理サービスの需要は日本だけでなく、道路網が整備され、車両の二酸化炭素(CO2)排出の規制が厳しい欧州連合(EU)諸国でも高まってきている。だが、現時点で一般に検討されている運行管理サービスは車両に特化していることが多く、より質の高いサービスを提供していくには、ドライバーの健康状態や運転時の生体情報、ドライブレコーダや天候、交通状況など多様な観点からのデータを活用することが求められると説明している。
東芝の企画、提案による、欧州などを対象とした「自動車運行監視・管理等による省エネシステムに関する調査」が、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の2015年度「国際エネルギー消費効率化等技術・システム実証事業」の実証要件適合性等調査として受託された。調査は、実証前の予備調査として位置付けられるもの。
リストバンド型活動量計で収集したドライバーの睡眠状況や生体情報とドライブレコーダで計測した道路交通情報を、タイムリーにクラウド上のプラットフォームを利用してデータを解析し、最適運転経路への誘導や事故率の高い経路を回避することで、低燃費で安全なフリートマネジメントの検討を進めていくという。
具体的な想定事例としては、ストレスが過度にかかる道路の通行を避ける運行ルートを作成、生体センサの情報をもとにしたドライバーへの休憩を指示、睡眠データでシフトを組み替えるなど、従来にない生体データを加味したサービスの展開を目指す。
日本IBMは、全世界で展開している「Smarter Planet」に関するプロジェクトで蓄積された技術や知見を活用して調査に協力する。2015年中に開始することを目指している実証実験で必要となるIT環境、具体的にはIBMのクラウド、データ解析技術プラットフォームを提供していく。