顧客企業から見れば、AWSやMicrosoft Azureも有効利用できるクラウドフェデレーションサービスは魅力的かもしれない。しかし、こうした仕組みのサービスは競合他社も拡充を急いでおり、今後、激戦市場になるのは間違いない。そこで打ち勝っていくためには、実績を上げてビジネスボリュームを拡大していくことも必要となるだろう。
日本ユニシスのクラウド事業の現状は、競合他社も含めた大手SIerのクラウド事業の試行錯誤を浮き彫りにしているともいえそうだ。
「企業内チームの作業の生産性向上に貢献したい」 (シスコシステムズ Erwin Matti 執行役員)
シスコシステムズ 執行役員 Erwin Matti氏
シスコシステムズが先ごろ、企業内チームを対象にメンバーがどこにいても参加できるセキュアな仮想会議室を立ち上げることが可能なクラウド型コラボレーションサービス「Cisco Spark」を発表した。同社執行役員でコラボレーションアーキテクチャ事業を担当するErwin Matti(アーウィン・マッティー)氏の冒頭の発言は、その発表会見で、新サービスの効果について語ったものである。
Cisco Sparkは米Cisco Systemsが2014年11月に発表したもので、日本でも第3四半期に日本語版を提供開始するとしている。Matti氏によると、Cisco Sparkを導入すれば、会議室に入ったチームメンバーはメッセージの送受信やファイルの共有、閲覧をセキュアな環境で行い、複数メンバーでの音声またはビデオ通話、画面共有をすぐに開始することができるという。
この会議室には、チームメンバー全員のファイルや文書、決定事項がまとめて保管されるため、仮想会議やビデオ会議、チャットなど、チームに必要なあらゆる作業を1カ所で行えることから、生産性を格段に向上できるとしている。
Cisco Sparkは、iOSやAndroidをベースとしたモバイルデバイスにはアプリが提供されるほか、PCではウェブブラウザから利用可能。SaaS型クラウドサービスとして提供されるので導入も容易に行えるようになっている。
Matti氏はCisco Sparkについて、「同じようなものはこれまでもあったが、そのほとんどはコンシューマー向けだ。今回、当社がエンタープライズレベルのコラボレーションアプリを提供することで、働き方をも変えていけるように支援していきたい」と、本格的な企業利用のツールであることを強調した。
新サービスはSaaS型クラウドサービスとして、シスコがアプリケーション領域に本格的に踏み込んだものとしても注目される。同社のクラウドサービス戦略における位置付けとしても、どうやら広がりがありそうだ。今後の動きに注目しておきたい。