新たな活用シーンと既存システムという2つのアプローチ
中堅・中小企業に対するスマートデバイス活用訴求には、
- 「売上増に直結する新たな活用シーンの提案」
- 「既存の業務システムにおける利用シーン提案」
という2つのアプローチが考えられ、ITソリューションを提供する側としては双方のアプローチを織り交ぜ、当面は臨機応変に提案していくことが確実と考えられる。
(1)と(2)の双方のアプローチに関し、年商別/業種別/所在地別に有望な企業セグメントに関する集計/分析を行った結果の一部が下のグラフだ。調査において「スマートデバイス投資における重視事項」として尋ねた16項目に渡る選択肢のうち3つの項目に関する結果を「中堅・中小企業全体」「建設業」および「サービス業」についてプロットしたものとなっている。

スマートデバイスの有効な活用シーンを描けていないユーザー企業も多い中で、建設業は全体と比べて「活用法のアイデアがあるので、販社やSIerに対して積極的に相談する」の割合が高く、建設業は上記の(1)のアプローチにおける有望な訴求先となる可能性がある。
一方、サービス業では「活用法のアイデアがあるので、販社、SIerに対して積極的に相談する」の割合は低いが、「売上増につながる活用法があれば、事例が少なくても積極的に導入・活用する」の割合が高くなっている。サービス業に対しては見た目の事例数を増やすよりも、個々のユーザー企業の課題・ニーズを深く理解し、売上増につなげる取り組みが重要と考えられる。
また、「建設業」と「サービス業」のいずれも「業務システムとの連携が重要なので、スマートデバイス活用も既存の販社、SIerに相談する」の割合が全体よりも若干ではあるが高くなっている。
「スマートデバイス活用に伴う新たな商流が生まれ、在庫管理や売上分析を改変する必要がある」などといったように、スマートデバイスとは一見無関係に見えるバックエンドの業務システムも、特に(1)のアプローチにおいては非常に重要な役割を果たす。
販社、SIerとしてはスマートデバイス活用に対する自社の立ち位置を常に柔軟にとらえておくことが大切と考えられる。
調査は、同社が発刊する「2015年版中堅・中小企業におけるIT投資の実態と展望レポート」に向けて行われたもので、年商5億円以上~500億円の国内企業を対象として2015年1月~4月にかけて実施され、有効回答数は771社。