NRIセキュアテクノロジーズと野村総合研究所(NRI)、トレンドマイクロの3社はIaaS/PaaS「Amazon Web Services(AWS)」のユーザー企業向けに情報セキュリティに関する手引書(セキュリティリファレンス)を共同で作成し、5月26日から無償で提供する。
AWSなどのクラウドインフラは、グローバルなビジネスを展開する企業にとって、各国の拠点に安全で高品質な情報システムを容易に準備できるが、実際の運用では各国の政府当局や業界団体が定めるセキュリティやリスク管理のためのルールに対応する必要があり、システム面の対応負担が課題となっている。
今回のセキュリティリファレンスは、各国のルールに準拠しつつ、AWS利用に伴って必要となる作業の負荷を軽減するため、多くのグローバル企業が重要拠点と位置付ける国の政府や業界団体が定めるリスク管理規定などを踏まえ3社が共同で作成した。AWS環境のもとで自社の情報システムを構築する際、具体的に実施すべきことが明確となり、安心してAWSを利用できるという。
今回は第1弾として、アジア太平洋地域でビジネス上の重要性が高いシンガポールで定められた、基準の厳しい金融情報システム向けの「MAS-TRM」ガイドラインに対応することを目標に作成した。MAS-TRMガイドラインは、シンガポール金融管理局(Monetary Authority of Singapore:MAS)が定めるテクノロジリスク管理(Technology Risk Management:TRM)のためのガイドラインであり、2013年6月21日に公開、2014年7月1日から施行されている。
セキュリティリファレンスのチェックシートの各項目がクラウド特有の検討事項に相当するかどうかを判断し、対応が必要な範囲を明確化できるという。AWS上でシステムを構築するにあたり、AWS、ユーザー企業、システムインテグレーターの役割分担を明確化し、必要な対応事項も明記している。5月26日からNRIセキュア、NRI、トレンドマイクロのウェブサイトに掲載される。
3社は今後、アジア太平洋地域で金融以外の業種に関するリスク管理ガイドラインについても同様のセキュリティリファレンスを作成し、グローバルに展開する日系企業のビジネスをサポートしていく。