アップデートがWindows Updateで「推奨」として表示されていれば、それは非常に多くのWindowsデバイスに既にインストールされ、デプロイされている。これは、このアップデートが(Microsoft社内や、Windowsのテスト担当者だけではなく)かなりしっかりと吟味されていることを意味すると、Paquay氏は述べている。
「われわれは、企業からのもっと多くのフィードバックを必要としている。皆さんには、テレメトリを有効にしてもらいたい。企業に対応した品質のものを提供できているかどうか知りたい」(Paquay氏)
Microsoftは「Windows 8.1」と「Windows Server 2012 R2」によって、少なくとも一部の顧客の知らないうちに、Windows 10のサポート戦略の下準備をしてきた。オプションから推奨/重要へと昇格した修正は、1パッケージあたり1つの修正という割合か、あるいは非公式に「convenience rollup(簡易ロールアップ)」と呼ばれているものの一部となる。
convenience rollupは、単一のパッケージで、インストール、リブートを行う。これは、1回のリブートだけで、顧客に複数の修正を提供する方法だ(2014年12月末まで、Microsoftは月例アップデートのロールアップとともに、こうしたconvenience rollupを配布していたが、2014年末から同社は月例のアップデートを中止している)。
Microsoftは、2013年と2014年にはこうしたconvenience rollupを少数リリースしている。最初にリリースされたものの1つが、「Windows 7」と「Windows Server 2008 R2」向けの「Slow Boot Slow Login」ホットフィックスロールアップで、これはWindows 7とWindows Server 2008 R2のService Pack 1の後にリリースされた、90個のホットフィックスの集合だ。
2014年11月に、Microsoftはこうしたconvenience rollupを新たにリリースした。これはWindows 8.1向けの「Defense in Depth for IE」などのいくつかの新機能のほか、66個のバグ修正を含んでいる。Paquay氏はこのロールアップを、プライベートクラウドのための統合システム「Cloud Platform System」(編集部注:日本では現在提供されていない)の「基準線」と呼んでいる。
Microsoft社内では、11月に行ったWindows 8.1とWindows Server 2012 R2のロールアップを「Long Term Servicing Branch(長期サポートブランチ:LTSB)」と呼んでいるとPaquay氏は述べた。LTSBのコンセプトは、Windows 10とWindows Server 2016に引き継がれる予定だ。このオプションは、「Windows 10 Enterprise」のユーザーにのみ提供されることになっている。LTSBを利用すると、ユーザーはセキュリティアップデートと緊急アップデートのみを受け取ることになり、Windows 10 Enterpriseを稼働しているデバイスには、新しい機能のアップデートはプッシュされてこない。
Microsoftは今後数カ月以内に、Windows 7とWindows Server 2008 R2ユーザーに向けて、Windows 10への移行準備を支援する方法として、別のconvenience rollupを提供する計画を立てているとPaquay氏は語った。この新しいアップデートの提供時期については未定だとしている。
まとめると、MicrosoftはITプロフェッショナルである顧客に対して次の行動を求めているとPaquay氏は述べている。
- アップデートが企業での適用にふさわしいものかどうかMicrosoftが判断できるように、オプションのアップデートを検証すること。
- 推奨とされている単独の修正やロールアップを積極的にデプロイすること。それらの適用は任意ではあるが、検証済みだからだ。
- convenience rollupを用いて、基準線を作っておくこと。このロールアップはデプロイするだけでよく、ワイプやロード、イメージの必要はない。このコンセプトはWindows 10でも引き継がれる予定だ。
「こうしたことを行えば、Windows 10が出てきた時にするのと同じ方法で、自社のデバイスやサーバを管理することになる」とPaquay氏は述べている。そのうえで同氏は、セキュリティアップデートのみを適用しているITプロフェッショナルにとっては、Windows 10の今後のサポートルールは、見た印象や実際の動作が大きく異なったものになるだろうと警告した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。