今週の明言

富士通次期社長が示したリーダーシップへの決意と覚悟 - (page 2)

松岡功

2015-05-22 12:00

 ただ、田中氏はこのイベントの半月前に行った決算会見で、2015年度に大がかりなビジネスモデルの変革に取り組むために300億円の投資を行うことを明らかにしたものの、その具体的な内容を「あらためて発表する」として示さなかったため、一時的な株価急落を招いてしまった(関連記事参照)。“強い決意と覚悟”は、そうした状況を意識したようにも見て取れた。まもなく、そのあらためての発表も行われるだろう。さらなる決意と覚悟に注目したい。

「OpenPOWERを通じ、参画企業とともに次世代技術を創出していきたい」
(日本IBM 朝海孝 理事)


日本IBM 理事 朝海孝氏

 日本IBMが先ごろ、RISCプロセッサ「POWER8」を搭載したUNIX/Linuxサーバ「IBM Power Systems」の新製品を発表した。ビッグデータ活用やクラウドへの対応を一段と強化したという。同社理事でシステムズハードウェア事業本部ハイエンドシステム事業担当の朝海孝氏の冒頭の発言は、その発表会見で、POWERプロセッサのオープン化への積極的な取り組みについて語ったものである。

 新製品の概要や特長については関連記事を参照いただくとして、ここでは朝海氏が語ったPOWERプロセッサのオープン化への取り組みに注目したい。

 その取り組みを象徴しているのは、IBMがGoogleなどと2013年8月に設立したPOWERアーキテクチャに基づくオープンな開発コミュニティ「OpenPOWER Foundation」の活動である。POWERアーキテクチャを公開して関連するハードウェアやソフトウェアの開発を行い、オープンなPOWER勢力を広げていこうというものだ。

 朝海氏によると、OpenPOWER Foundationの参画企業・団体は当初5社でスタートしたが、現在では110社以上に膨らみ、国別にすると22カ国に及ぶという。日本からは、日立製作所、東北大学、早稲田大学が名を連ねている(図参照)。

 こうした勢力の拡大ぶりについて朝海氏は、「これだけの参画企業からなるオープンなコミュニティによる開発が、POWERベースの次世代技術をスピーディーに創出していくと確信している」と強い手応えを感じているようだ。

 さらに、同氏によると、Power SystemsはIBMが展開しているクラウドサービスのIaaS「SoftLayer」に適用され、SoftLayer上で動作するPaaS「Bluemix」にも対応可能になったという。Bluemixはオープンソースのソフトウェア開発プロジェクトである「Cloud Foundry」をベースとしていることから、クラウド上でもオープンへの対応が広がったことになる。

 こうしてみると、かつてはメインフレームと同様、Power SystemsもIBMの独自技術を象徴する製品だったが、その変貌ぶりは目を見張るものがある。まさにIBMのしたたかな戦略といえよう。


OpenPOWER Foundationの参画企業・団体

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ZDNET Japan クイックポール

注目している大規模言語モデル(LLM)を教えてください

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]