米商務省はゼロデイエクスプロイトを国外に輸出する場合にライセンスを義務付ける法案を提出した。
米国時間5月20日に明らかにした法案は、「侵入ソフトウェア」の輸出に制限を設けるものだ。武器にも利用できる「デュアルユース」項目と同じようなものとなる。
2013年、米国および「ワッセナー・アレンジメント」に加盟する約40カ国は侵入ソフトウェアを統制品目に追加している。これは、公開されていない欠陥を狙う「ゼロデイ」をはじめとしたサイバー武器の増殖を防ぐことを目的としたものだ。
商務省の法案の下、企業や個人研究者は侵入ソフトウェアやIPネットワーク監視システムを国外に販売する際にライセンスが必要となる。ハイパーバイザ、デバッガ、リバースエンジニアのためのソフトウェアについては、今後対象とするかどうかの意見を求めるようだ。輸出先がオーストラリア、カナダ、ニュージーランド、英国であれば、優遇扱いとなる。
法案ではまた、「ルートキットやゼロデイ攻撃機能を持つ、またはサポートするアイテム向けには推定拒絶ポリシーを用意する」としている。
著名なゼロデイ研究者でVUPENの最高経営責任者(CEO)を務めるChaouki Bekrar氏はツイートで、このような法案は米国の研究者と輸出事業にとって「地獄」を招くと述べている。
フランスに拠点を持つVUPENは2015年に入り、ワッセナー・アレンジメントのために、同申し合わせに加盟する国での販売を制限せざるを得ないとWebサイトで発表していた。
法案はセキュリティ業界に悪い影響を与えるとみる研究者も多い。だが、英サリー大学の教授でセキュリティ専門家のAlan Woodward氏はそうではないと見る。
「申し合わせの目的は、攻撃的な武器を制御することにある。銃と弾丸、爆弾とミサイルの類推を用いれば、研究が進まなくなるというものではないことがわかるはずだ。その輸出を制御するだけなのだ」とWoodward氏は米ZDNetに述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。