Gartnerは最新の推計で、2015年の世界のIaaSに対する支出は、前年比33%増の160億ドルに伸びる見込みであることを明らかにした。ところが、Gartnerによれば、IaaSプロバイダーの置かれている状況は必ずしも順風満帆というわけではないようだ。IaaS市場は「多くのサービスプロバイダーは市場から十分なけん引力を得られず、戦略を見直しつつあり、激変している状況にある」という。
Gartnerの別の分析によれば、この市場で優勢に立っているのはAmazon Web Services(AWS)だ。GartnerのアナリストLydia Leong氏は、同社の提供する「Magic Quadrant」と呼ばれるランキングで、AWSを首位に置いた。同社だけで、Google、IBM、Microsoft、Rackspaceを合わせたものの10倍の計算能力を持っているためだ。しかし、「Microsoft Azure」と「Google Compute Engine」も勢いを増している。

提供:Joe McKendrick
GarnerのIaaSの市場規模推計調査も率いたLeong氏は、IaaS市場の競争にはかなり大きな投資が必要であり、遅れずについていくためには多額の資金がかかると指摘する。その結果、「IaaSソリューションエコシステムでは、少数の市場リーダーを中心とした市場の整理が急速に進んでいる」という。これにより、多くのプロバイダーが、事業を縮小したり、完全に事業を停止したりする可能性がある。
そのため、インフラをクラウドに移行する際には、注意が必要だとLeong氏は結論づけている。「サービスの購入者は、プロバイダーを選択する際には十分に注意することを勧める。プロバイダーのサービスに関する今後の見通しについて、具体的で詳細な質問をし、サービスの大幅な変更や提供中止を行う際には少なくとも12カ月前からの通知を必要とするという契約上の義務を課すことを検討すべきだ」(Leong氏)
もちろんこれは、パブリックIaaSプロバイダーに関しての話だが、エンタープライズ市場で広く進んでいるプライベートIaaSの実装についても、大きな市場がある。しかしGartnerによれば、2014年、パブリッククラウドIaaSのワークロードの成長は、オンプレミスのワークロードの成長を初めて超えたという。同社が2015年に行った企業の最高情報責任者(CIO)に対する調査では、インフラとしてクラウドIaaSの利用を考えているCIOは83%に上り、クラウドファーストでインフラの選択肢としてIaaSを選ぶCIOも10%に達していることがわかった。
Leong氏はまた、ベンダーロックインについても次のように警告している。「クラウドIaaSは単なるハードウェアレンタルではなく、データセンターエコシステム全体をサービスとして利用するものだ。クラウドIaaSが提供する管理機能を利用すればするほど、サービスから多くの価値を引き出すことができるが、その特定のサービスへの依存度も高まる」(Leong氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。