モノのインターネットの衝撃

イノベーションに計画はいらない--MITメディアラボ所長 伊藤穣一氏 - (page 2)

山田竜司 (編集部)

2015-06-08 07:00

市民科学の取り組みが進展していくには

 こうした市民科学の取り組みは今後発展していくのだろうか。

 伊藤氏は「市民科学の取り組みを発展させるにはメディアがきちんと(取り組みに関して)話を聞いてレコードすることが重要。また、政府が市民科学(の有用性や成果)を認めること。一部では認められてきていると感じるているので、取り組みを継続させる」と説明する。

 Safecastでは放射線量のデータを取得した結果やプロセスなどを明らかにした上で、データを出すことだけに注力し、そこにイデオロギーや主張は入れなかった。これはなぜか。

 「客観的であることが政府やメディアには一番わかりやすい。感情的な意見や取り組みはインターフェイスしづらい。(反原発など)感情的な団体だと政府の出したより取り組みや都合の悪いデータには言及しないケースもあるが、われわれは(発表者に関係なく)有用なものは発表、採用している。データを利用、公表する上でメディアの(ジャーナリズムのような)ルールや冷静な倫理感をもっていることが重要」とした。

 これはデータを扱う仕事や業務にも当てはまる考え方とも言える。 「(より公平さを求めデータの信頼を得るには)データを出す部門、データを分析、解釈するセクションを分け、分析を第三者に委ねたほうが客観性が高い結果が得られることもある。例えば市民科学では、データの解釈は大学などが担当してもいい。そうしたデータの客観性を上げるためのアーキテクチャをきちんと作っていく必要がある」


Safecastが作成した放射線の強弱が分かる地図(Safecast 提供)

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