Avast Softwareは5月26日、日本で初めての記者会見を開催。すでに提供している個人向けソフトに加え、ビジネス用無料セキュリティソフト「Avast for Business」を6月末から提供する。
同社はチェコのプラハに本社を置くセキュリティベンダー。「中国を除く世界186カ国、45言語でセキュリティソフトを提供し、PCの30%以上を保護している。タブレット、スマートフォン、PC2億3000万台を保護している」(最高経営責任者=CEOのVince Steckler氏)

Avast Software CEO Vince Steckler氏

Avast Software COO Ondřej Vlček氏
基本となるソフトをクラウド経由で無料提供し、追加機能などを有償で提供するビジネスモデルを採用。「競合他社は、小売店経由で商品を提供しているため、ビジネスのポイントが技術ではなくマーケティングになっているが、当社はクラウドからソフトを提供するビジネスモデルを採用しているため、マーケティングではなく、技術に主軸を置いてビジネスを展開している」(Steckler氏)
すでに個人向けソフトは日本で提供しているが、6月末からSOHO向けソフトのAvast for Businessを日本で提供する。「注力分野はコンシューマーだが、2月からセキュリティ支出が大きな負担となっている中堅中小企業向け製品を初めて投入した。どの程度の引き合いがあるのかわからない状況でスタートしたものの、3カ月で10万社から申し込みがあった」(最高執行責任者=COOのOndřej Vlček氏)と順調な滑り出しを見せている。
日本は人気検索カテゴリのトップが有名人
Avast Softwareは、オーナーと欧州の大手ファンドが出資するプライベートカンパニー。2014年の企業実績としては、売上高と利払い・税引き・償却前利益(EBITDA)の成長率が50%以上、評価額10億ドル、新規ユーザー3000万人以上としている。
「セキュリティ分野では、最も古い時期から取り組んできたうちの1社である。1988年から事業を開始し、Windows製品は1995年から取り組んでいる。シェアが高いのはブラジルとロシアで、ブラジルではシェア60%、ブラジルでは65%のシェアを持っている」(Steckler氏)
アジアではローカライズとOEM向けカスタマイズを行うために台北、北京、香港、深圳、ソウルに事業所を置く。今回も、日本を皮切りにアジア各国を回る。
PCだけでなくタブレットやスマートフォン向けも提供している。日本市場向けにも、日本語にローカライズしたソフトを提供し、PC版はユーザー数190万人、市場シェア6.5%、モバイル版ユーザー数65万6000人、市場シェア2.5%だと算出している。
「マーケットシェアも決して大きい状況ではない。ブランド認知度も13%程度とまだ低い。今回の来日でのアピールなどによって、日本でのブランド認知度、市場シェアをもっと上げていきたい」(Steckler氏)
技術的な優位点として、「多くのセキュリティベンダーが採用しているラボ、大規模データベースを活用したセキュリティ対策ではなく、ユーザーの端末をベースにした2億3000万のセンサ、世界中に置いた1000台のサーバ、8.5兆件のURL、4000万件の最新アップデート接続、1秒あたり15万件のリクエストを活用し、異常を検知し対策を取っている。世界でもこれだけの規模でセキュリティ対策を取っている企業は他にない」とアピールしている。
ユーザー動向の監視状況から、「3週間ほど前の分析結果だが、日本の場合、人気検索カテゴリのトップが有名人。ちょうど結婚を発表したタイミングで『後藤真希』さんが検索ワードトップとなった。有名人が検索カテゴリのトップとなるのは他のアジアにはない特徴。この他にも人気サイト総合10位のうちに成人サイトが入っている唯一の国が日本」だとSteckler氏は紹介した。

日本人のネット利用動向(Avast提供)
日本以外のアジアでのインターネット利用の特徴としては、韓国は人気検索カテゴリナンバーワンが動画共有サイト、ナンバーツーは成人向けサイトで、ダウンロードが利用の中心となっている。ベトナムは人気検索カテゴリのトップがSNS、総合トップ10に7つもニュースサイトが入り、ニュースサイト人気が他国よりも高い。