今回の鈴木氏のシスコ社長就任は、折しも米国本社のCEO交代と時期が重なった。とりわけ、これまで20年間にわたってCEOを務めてきたJohn Chambers氏の退任は、Ciscoにとって大きな転機となるのは間違いない。「変化はチャンス」と考えれば、鈴木氏にとっては経営手腕を振るう好機ともいえそうだ。
「ストレージ技術は今、50年に一度の大変革期にある」 (日本IBM 波多野敦 ストレージセールス事業部長)
日本IBMの波多野敦 ストレージセールス事業部長
日本IBMが先ごろ、ストレージを効率的に管理し活用する新技術「Software Defined Storage(SDS)」への取り組みと、SDSに基づく製品群について記者説明会を開いた。波多野氏の冒頭の発言は、ストレージ技術の進化の歴史を振り返って今が大変革期にあることを強調したものである。
会見で説明されたSDSへの取り組みと関連製品群の内容については関連記事を参照いただくとして、ここでは波多野氏が語ったストレージ技術の進化の歴史に注目したい。(図参照)
同氏によると、ストレージ技術の進化の歴史は、1900年代初頭にパンチカードシステムが開発されたことから始まった。その目的は、当時、米国で移民政策によって国民の人口が増大したのに伴い、全体の数を正確に把握することにあった。ただ、信頼できるシステムが開発されたのは、1914年にIBMの前身の会社によって開発されたものだったという。
ストレージ技術の進化の歴史(出所:日本IBMの資料)
その最初の動きからおよそ50年後の1950年代になると、パンチカードより多くの情報が扱える磁気テープ記録媒体と、ランダムアクセスが行えるハードディスクドライブ(HDD)が、いずれもIBMによって世界で初めて開発された。
そして、そのおよそ50年後の今、高速処理を可能にしたフラッシュ技術が実用化されるとともに、高度で柔軟なストレージ利用に向けたSDSが注目されている。波多野氏の冒頭の発言は、こうしたストレージ技術の50年ごとの進化をとらえたものである。
同氏はSDSについて、「ストレージ技術の進化はこれまで、パンチカードに始まって磁気テープ、ハードディスクといった記録媒体の進化が中心だった。しかし、これからビッグデータ時代に向けて、記録媒体だけでなくストレージシステムのあり方そのものを変えていかないと追いつかないということでSDSが注目されてきている。IBMは今後一層、このSDSに注力していくことを強調しておきたい」と語った。
当初、「50年に一度の大変革期」と言われてもピンと来なかったが、波多野氏の説明を聞いて、なるほどと思った。ストレージ技術は今まさに「第3の波」を迎えているようだ。