「Windows 10」へのアップグレードは、その提供開始後1年間にわたって無償で可能となっている。この選択肢は、コンシューマーにとって素晴らしいが、PC市場を苦境に追いやっている。
米調査会社IDCのQuarterly PC Trackerによる最新データでは、2015年の後半にリリースされる予定のMicrosoftの新OSに移行しようというコンシューマーの動きが予想よりも緩やかなせいもあり、2015年におけるPCの出荷台数は6.2%減少する見込みとなっている。
IDCによると、Windows 10への無償アップグレードにより、コンシューマーが慌てて新しいコンピュータを購入する必要性は低くなっているという。
IDCは法人市場に関して、Windows 10の配備に先立って企業が同OSを評価することになり、業務用PCの新規購入の大半が既存システムの置き換えになると見込んでいる。
ただし、IDCによるPCの定義には着脱式のキーボードに対応した製品が含まれていないため、Microsoftの「Surface」や「Surface Pro」といった製品は今回の調査対象となっていない点を述べておく必要がある。
IDCのWorldwide PC Tracker担当バイスプレジデントのLoren Loverde氏は「MicrosoftやPCベンダーは、新しいOSや新しいPCの利点をユーザーに納得してもらう必要があるものの、それには時間がかかる」と述べたうえで、「彼らは顧客を啓もうする必要があるだけでなく、他のデバイスとの厳しい競争や、世界のさまざまな地域における低調な消費に直面することになる。その結果、PCの出荷は2016年に安定し、その後の数年間は限定的な成長にとどまるだろう」と語っている。
しかし、PC市場の低迷はMicrosoftにすべての責任があるわけではない。ホリデーシーズンが近づいてくると、携帯電話やタブレット、「Apple Watch」のようなウェアラブルデバイスへの支出を優先させるというコンシューマーの動きは変わらないだろうとIDCも述べている。
IDCの調査によると、PCの出荷台数は2015年に4年連続での下落となる見通しだ。同市場は、「Windows XP」に対するMicrosoftのサポートが終了した2014年半ば頃にいくらか安定したが、現在ではその需要も一段落している。
またIDCによると、競合製品の存在に加えて、米ドル高と商品価格の低迷によっても消費が、特に海外市場で抑制されているという。この傾向は消費者市場において顕著だが、法人市場での需要は成熟地域と新興地域ともに引き続き堅調だという。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。