しかし、「工場内にはさまざまな機器があり、それを一気にIoTで管理することは簡単ではない。会津若松Akisaiやさい工場では、第1イノベーションとして半導体生産という異業種からICTを活用したレタス作りに着手。第2イノベーションとして現場のデータをきちんと取得し、経営者に見せて現状を把握することに着手した」(富士通 統合商品戦略本部 ビッグデータイニシアティブセンター シニアマネージャー 及川洋光氏)と段階を踏んで工場のIoT化に取り組んでいる。
それでもA5 Azureを活用することで初期投資を抑え、短期間で導入できることに加え、分析、機械学習、リアルタイム処理などIoTに必要な機能要件が全て標準装備されるなど、導入後、即活用できるIoTと説明している。
富士通 統合商品戦略本部 ビッグデータイニシアティブセンター シニアマネージャー 及川洋光氏
Akisaiやさい工場の場合、「レタスのカリウム含有量は、全体としては低く抑えられているが、生き物だけに個々の含有量に違いが出てくる。個々の違いをできるだけ抑えるようなパラメータ設定が難しかった」(及川氏)とIoTで見える化したことで課題を明らかにしている。
工場ではタブレットを使ってデータを把握し、その場で調整し、「Skype for Business」を活用してコミュニケーションを取るといった方法が採用されている。この手法は、「例えば工場が海外にある場合でも、見える化したデータを使って本国の経営層と現地スタッフがリアルタイムに会議するといった使い方ができるのではないか」(及川氏)と他の業界でも利用が可能だという。
法被姿で試食とともにキレイヤサイをアピール
「品質やエネルギー使用量といった部分を見える化で明らかにするとともに他の工場と比較するといった分析によって、部分最適だけでは実現できなかった改善ができることを注目する企業も出てきていて、実際に商談も増加している」(及川氏)
レタス生産に関しては、レタスを生育している棚に光ファイバを通して、現在は部屋の1~2カ所で計測している温度、湿度などをもっと多くの場所で観測することで品質にどんな影響が出ているのかを評価する計画が始動する予定だ。
「改善のためには、データをもっとたくさん取っていく必要がある。これをIoTで実現し、Azure上で分析するという流れを作る」(及川氏)とIoTによってレタス生産にさらなるプラス効果を生み出していく。