スマートマシン時代の到来

五感を刺激、拡張するテクノロジ - (page 5)

林 雅之

2015-06-12 07:00

 人工知能が、人間の味覚の好みに応じてレシピを考案する取り組みも始まっている。IBMの人工知能「Watson」は、利用者が好みの食材や調理法を入力すると、100種類のオリジナルレシピを提案する「Chef Watson」を展開しており、4月には、米国でレシピ本「Cognitive Cooking」も発売されている。


出所:IBM ホームページ

 冷蔵庫にある商材、本人の味覚の好み、本人のウェアラブルデバイスで管理している健康状態などをもとに、Chef Watsonが最適なレシピを提案し、3Dフードプリンタで食材をつくるといったように、個人に合わせた新しい味の組み合わせを創造する動きも進んでいくかもしれない。

嗅覚を新たな誘導ツールに

 「匂い」で目を覚ましてくれる目覚まし時計「SensorWake」の開発が進められている。実際に100人以上でテストを行ったところ、99%の人が匂いで2分以内に起きることができたという。匂いの種類は、エスプレッソと温かいクロワッサン、甘い桃とイチゴのキャンディなどの6種類が利用でき、カプセルは60回利用できる。


出所:SensorWake
http://sensorwake.com/

 匂いによるアプローチは目覚まし時計だけでなく、例えばケーキ屋や焼肉屋といったように、嗅覚を刺激し店舗に誘導するなど販促につなげていくといったアプローチも考えられるだろう。

五感を刺激、拡張するサービスと可能性

 これまで紹介してきたように、触覚や視覚、聴覚、味覚、嗅覚の五感を刺激する斬新なサービスが登場し始めている。五感から生成される情報をコンテンツとしてとらえ、拡張や機能を支援するサービスが人間の行動範囲や思考範囲を広げ、生活スタイルやビジネスのスタイルを大きく変化させていく可能性を秘めている。

 事業者にとっても既存の枠を超え、五感を組み合わせた新たなビジネスを創造する大きな機会ととらえることができるだろう。

林 雅之
国際大学GLOCOM客員研究員(NTTコミュニケーションズ勤務)。NTTコミュニケーションズで、事業計画、外資系企業や公共機関の営業、市場開 発などの業務を担当。政府のクラウドおよび情報通信政策関連案件の担当を経て、2011年6月よりクラウドサービスの開発企画、マーケティング、広報・宣伝に従事。一般社団法人クラウド利用促進機構(CUPA) アドバイザー。著書多数。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    「デジタル・フォレンジック」から始まるセキュリティ災禍論--活用したいIT業界の防災マニュアル

  2. 運用管理

    「無線LANがつながらない」という問い合わせにAIで対応、トラブル解決の切り札とは

  3. 運用管理

    Oracle DatabaseのAzure移行時におけるポイント、移行前に確認しておきたい障害対策

  4. 運用管理

    Google Chrome ブラウザ がセキュリティを強化、ゼロトラスト移行で高まるブラウザの重要性

  5. ビジネスアプリケーション

    技術進化でさらに発展するデータサイエンス/アナリティクス、最新の6大トレンドを解説

ZDNET Japan クイックポール

自社にとって最大のセキュリティ脅威は何ですか

NEWSLETTERS

エンタープライズ・コンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]