移行の標準的なステップは、(1)棚卸、(2)移行方法の策定、(3)移行先の策定、(4)移行作業、の4段階。このうち(1)の棚卸が最も重要で、最も難しい。ソフトウェア/ハードウェア構成やサポート契約の種類のほか、システム負荷やサービスレベルなどの非機能要件も調べる必要がある。
前述の日経BPコンサルティング調べでは、Windows Server 2003を使っているユーザー417人のうち、(4)の移行作業に着手していないユーザーは49.9%と半数を占めるが、一方で(1)の棚卸が完了しているユーザーも47.5%と半数を占める。何にも取り組んでいない、つまり棚卸に着手していないユーザーは14.4%しかいない。移行計画が中長期にわたっているものの、堅調に移行が進んでいる様子がうかがえる。
(3)の移行先の策定では、選択肢は、(a)ソフトウェアのライセンスを自前で購入せずに、SaaS/PaaS型のクラウドサービスを利用するやり方、(b)ソフトウェアを動作させるサーバ環境として、IaaS型のクラウドサービスを利用するやり方、(c)自社内にサーバ資源を保有するやり方やり方――と大きく3つがある
Windows Server 2003のサポートの終了は、一見するとネガティブな要因だが、見方を変えればクラウドに移行する好機と捉えることができる。自社内にサーバ資源を保有する場合も、サーバ仮想化ソフトを活用したプライベートクラウドへと移行すれば、ビジネスの需要に合わせてサーバ資源を素早く提供できるようになる。