進歩に向けた自由度
しかし、その自由度を現実のものとして生かすために、プライベートクラウドのベンダーはやるべきことを数多く抱えている。プライベートクラウドの先鋒とも言えるOpenStackは、およそ1億2000万人のコミュニティーメンバーを擁しているが、幅広く普及しているとは言い難い状況だ。米調査会社Gartnerも、OpenStackを採用している企業を数百社程度しか見つけられなかった。
OpenStackの責任者であるRandy Bias氏は、最近開催された「OpenStack Summit」における素晴らしい基調講演で、その理由の1つとしてOpenStackをむしばみ続けている複雑さを挙げている。OpenStackコミュニティーは、OpenStackのエクスペリエンスを大幅に簡素化する必要に迫られている。
OpenStackは利益を追求する企業の関心に応えるために「本来の精神を失ってしまった」と嘆くOpenStackのパイオニアもいる(この人物はLinuxをはじめとする、世の中に普及しているオープンソースプロジェクトについてあまり知らないようだ)。しかし実際のところ、OpenStackを進歩させ、企業での使用に耐えられるようにするためには、Red Hatのような企業の関心がまさに必要とされているのだ。
Whitehurst氏が主張するように、規模が大きく、ワークロードが予測可能な場合には、プライベートクラウドが適切な選択肢となるかもしれない。しかし、現代の大企業は迅速かつ臨機応変に立ち回ることが求められているため、「予測可能」と「大企業」という言葉が同じコンテキスト内で語られる時代は2度とやってきそうにないとも考えられる。また、将来的にAWSは、常に大企業よりも効率的にインフラを運用できるようになるという状況も考えられる。
そうであったとしてもOpenStackが成熟していけば、自社のワークロードのパブリッククラウドへの移行をためらっている大企業にとってより安全な選択肢となるはずだ。Red HatはOpenStackが成熟するうえで重要な役割を担っている。筆者は、最適なクラウドが勝利してほしいと願っている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。