4.Oracle:エンタープライズ向け事業を狙う
初期のOracleは、ほとんどM&Aを行わなかった。しかし2000年代半ばから貪欲に買収を始め、その状況は現在に至るまで続いている。
「わたしが知る限り、Oracleはほぼすべてのエンタープライズ関連分野で非常に積極的にM&Aを進めている」とWelsh氏は述べている。
この10年間進められてきたこの新戦略は、Oracleにとっては成功だった。Welsh氏によれば、この戦略は新たな市場への参入と規模の拡大に貢献した。同社はアナリティクスとビッグデータの分野で買収に戦略的に取り組んでおり、今ではサービス業や金融サービスなどの新たな垂直市場にも手を出している。
Oracleは、新たな市場に参入するために、積極的に10億ドル単位の投資を行う大手テクノロジ企業の1つとして知られている。その好例が、BEA SyatemsやSiebel Systems、PeopleSoftなどの買収だ。Bartels氏によれば、Oracleは健全なメンテナンス収入が期待できる企業を狙う傾向がある。
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同社は最近収入の伸びが鈍化しており、過去の買収のような、新たな収入源を探す必要に迫られている。Oracleの弱点はクラウドであり、クラウドには同社の主要な製品の一部を毀損する可能性がある。
「Oracleは市場でのシェアと認知度の再獲得に躍起になっている」とAntonelli氏は言う。
では、十分な資金を持っているが、市場での支配的立場を逆転される可能性に直面している企業は何をするだろうか。その企業のルールに楯突く企業を買収するだろう。また、市場を混乱させる企業も買収するに違いない。
「Oracleにとっては、今は以前のような大規模な買収(PeopleSoftやSiebelなど)を行うには絶好のタイミングであり、再び成長路線に乗るために、成功しているクラウドサービスプロバイダを狙うだろう」とDufour氏は述べている。「M&Aの取り組みはいずれ、SaaS/クラウドベースのソリューションへの完全な移行と、高成長市場への参入を支えることになる」
B2Bに特化したクラウド企業であれば、買収元になる可能性のある企業リストには、Oracleがあるはずだ。Oracleはこの市場に投資せざるを得ず、出口を探すスタートアップ企業は、Oracleに買収されるだけの価値を提供できるかもしれない。
また、ターゲットになるのはクラウド企業だけではない。エンタープライズ市場のスタートアップ企業であれば、ほとんどいかなる規模の会社でも、Oracleの事業に組み込まれる可能性がある。Dufour氏によれば、Oracleはアプリケーション、ミドルウェア、特定業界向けソリューション、インフラなどの分野の企業にも注意を払っている。
後編に続く。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。