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CAMSSやIoTに積極投資--イベント「XCITE」に見る日本IBMの現在

大河原克行

2015-06-09 14:40

 日本IBMは東京、大阪、名古屋でプライベートイベント「IBM XCITE Spring 2015」を開催した。

 「A New Way - その先へ」をテーマにクラウド、アナリティクス(ビッグデータ)、モビリティ、ソーシャル、セキュリティ(CAMSS)といった新たなテクノロジを活用したデジタルビジネスへのアプローチを提案するとともに、それらの実装に向けた具体的な方法を具体的事例を含めて紹介するもの。基調講演には1月に代表取締役社長執行役員に就任したポール与那嶺氏が登壇。社長就任以来、初めて公の場でユーザー企業に挨拶する場ともなった。

 5月29日に名古屋・栄のヒルトン名古屋で開催した「IBM XCITE NAGOYA 2015」に登壇した与那嶺氏は、実父である与那嶺要(ウォーリー与那嶺)氏が中日ドラゴンズの監督を務めていたこと、与那嶺氏自身も中学生高校生のときには、球場に訪れていたことを紹介し、名古屋と強い接点があることを示してみせた。

ポール与那嶺氏
日本IBM 代表取締役社長執行役員 ポール与那嶺氏
武藤和博氏
日本IBM 常務執行役員 IBMシステムズ・ハードウェア事業本部長 武藤和博氏

 与那嶺氏は、「IBMは顧客を支援するために、IBMの今後のビジネスを拡大するためにも、CAMSSに対して多くの投資をしている。IoT(Internet of Things:モノのインターネット)で30億ドルを投資することも発表した。私は、日本の企業こそがグローバルのIoTを制覇すると予見している。IoTにおけるリファレンスをどんどん日本に紹介し、日本のIoTの取り組みを加速させたい」などと述べた。

 その一方で、「だが、こうした新たな技術を紹介しても、どう使いこなせばいいのか、投資対効果はどうなのかといった疑問の声があがる。日本IBMでは、グローバルビジネスサービス部門の6000人のリソースを活用して、インダストリーソリューションの開発に力を注いでいる。業界ごとにCAMSSを組み込んだソリューションを提案し、新たな技術を理解し、評価をしてもらい、投資対効果も見えるようにしていく。インダストリーソリューションは、今後日本IBMが最も力を注ぐ分野である」と語った。

 与那嶺氏の発言を補足するように、常務執行役員 IBMシステムズ・ハードウェア事業本部長の武藤和博氏が「Think」「Work」「Forward」という3つの切り口から、「A New Way - 新しいテクノロジが創る、新しいビジネス」を主題に昨今の動向とそれに向けた日本IBMの取り組みについて紹介した。

IoT+アナリティクス

 最初のThinkでは、ビッグデータとアナリティクスにより産業を変える「新しい発想」がテーマだ。

 武藤氏は、「今は90億台のデバイスがつながっており、これが10年後には1兆台のデバイスが接続され、センサやさまざまな装置から大量の情報が発信されることになる。IoT時代で大切なのは、その膨大なデータを分析することである。IoTとアナリティクスを組み合わせて社会の変革をもたらすことになり、そこにビシネスの価値が生まれることになる」とIoTの可能性を示した。

 続けて、武藤氏は「この影響は流通や小売り、金融、医療などと幅広く、顧客の行動や思考を判断して、最適な提案を行ったり、装置の故障を未然に確認したりできる。医療機関では、多くの患者の命を救うことができるようになるだろう。監視カメラのデータと行動から、迷子を早期に発見することもできる」などとし、いくつかの具体的事例を紹介した。

 ひとつは、仏の自動車メーカーPSA Peugeot Citroënの事例だ。同社では、走行データを1秒ごとにリアルタイムに収集。ドライバーの安全運転を促し、保険会社ともドライビングデータを共有して、エコドライブの人には保険料を低料金で提供することができるという。

 もうひとつの事例が「IBM Watson」を活用したものだ。「現状を把握し、何が起こるかを予測し、次の取るべき最適なアクションは何かを導き出し、自ら学習してアクションを促すのがWatson。IBMでは、これを人工知能ではなく、コグニティブコンピューティングと呼んでいる」と前置きし、こう続けた。

 「メガバンクのコールセンターには、暗証番号を忘れたという簡単な質問や定期預金の運用などといったノウハウを要する相談もある。あらゆる質問に最もふさわしい回答をWatsonがディスプレイに表示して、ベテランオペレーターでも若いオペレーターでも高い水準の回答ができるようになる」(武藤氏)

佐藤貞弘氏
ソフトバンクモバイル 常務執行役員 法人事業副統括兼ICTイノベーション本部長 佐藤貞弘氏

 ここでは、日本でWatsonの事業展開で協業しているソフトバンクモバイルの事例も紹介。ソフトバンクモバイル 常務執行役員 法人事業副統括兼ICTイノベーション本部長の佐藤貞弘氏が登壇し、同社のWatsonへの取り組みについて説明した。

 Watsonの自社での活用、法人企業への展開、Watsonによるエコシステムという3つのステップを追って事業展開する姿勢を明らかにし、「当社ではスマート経営を掲げている。Watsonを絡めたスマート経営の実践ノウハウを、今後、世の中に提案をしていきたい」とした。

 佐藤氏は、いくつかの想定される自社活用について言及。ユーザーがスマホに話しかけると疑問に回答してくれる24時間対応サービスや顧客への訪問営業の際に提案材料を提示する例、店舗での地域密着型のキャンペーンを行う際のアイデア支援、人事部門で最適な人材配置をする際の人材活用提案などに、Watsonを利用できる可能性を示唆した。

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