仮想デスクトップ基盤(VDI)の普及が進んでいる。数々の製品群の中で米Dellの優位点とは何か。Dellのクラウドクライアントコンピューティング部門のエグゼクティブディレクターのJeff McNaugt氏が語った。
Dell Cloud Client Computing エグゼクティブ ディレクター Jeff McNaugt氏
「いつでも、どこでも、どのデバイスからでも働ける環境の構築が必要」――McNaugt氏は冒頭、DellとIntelが2014年にグローバルで実施した働き方に関する調査をひも解きながら主張した。調査によると全世界の従業員の64%は営業時間外に何らかの仕事をしており、52%が在宅作業でもオフィスと同等かそれ以上の生産性を得られているという。
また、PCに限らず、タブレットやスマートフォンなど複数のデバイスでの作業を併用しているユーザーが増えていることも調査では明らかになったと説明している。
こうした“いつでもどこでも、どのデバイスからでも”を実現する環境のためにDellはシンクライアントも含めたVDI環境を構築するための戦略としてクラウドクライアントコンピューティングを推進している。
McNaugt氏はVDI環境のメリットとして(BYODが可能になる)業務効率の強化、ITリソースの最適化、(集中管理による)セキュリティの強化、コスト管理が容易になる点などを挙げた。VDI環境がエンタープライズ向けだけでなく、(調査の結果から)中堅中小企業向けにも重要であることを示唆した。
Dellでは、2012~2013年にWyse TechnologyやQuest Softwareを買収、エンタープライズ向けに製品やサービスを提供している。
VDIの設計、運用を推進するために投資を継続しており、デプロイのためのベストプラクティスであるリファンレスアーキテクチャをを政府、教育などの業界別に用意している。リファンレスアーキテクチャではサーバ、ストレージ、ネットワーク、仮想化ソフト、デバイスなどの組み合わせで最適なものを検証するため、数十万時間を互換性や負荷テストに費やしているとした。
このほかハイパーバイザを持つMicrosoftやCitrix、VMwareと連携してサーバやストレージ、ネットワーク環境にソフトウェアをセッティングし、電源を入れてから数時間程度でVDI環境を構築するためのアプライアンスを提供するため、投資を継続しているという。
この秋にはクライアント端末とサーバを仲介する「コネクションブローカ」の役割を担うソフト「Wyse vWorkspace」を展開すると発表した。複数のハイパーバイザやリモートデスクトップサービス、ブレードPC、Linuxの仮想マシンなどへ、ワンストップでユーザーアクセスや管理が可能となるという。
McNaugt氏はWyse vWorkspaceはスケーラブルであり、4000台の環境を40分で構成可能と説明、監視機能も製品に標準で組み込まれているとアピールした。容易にデプロイでき、投資対効果(ROI)が高いため米国やヨーロッパでは引き合いが強いといい、イギリスのヨーク大学など中規模な団体でも事例が生まれている。
Wyse vWorkspace