齋藤氏は「今後のイノベーションは、顧客接点からの段階から、すべての領域をカバーしなければならないと考えている。それぞれの人財を多能工として育成し、垂直統合での提案ができるようにしていく」と述べた。
2015年度のシステムソリューション事業の売上高構成比は、金融3割、産業・流通3割、公共2割、社会2割となっている。
サービス分野での2013~2015年度の年平均成長率は、SIが5.7%、業務運用サービスなどは13.6%と高い伸びとなっている。
東京電力とともに設置した日立システムズパワーサービスに代表されるナレッジをベースしたソリューション提案、顧客課題解決型サービスの拡大に取り組むという。プラットフォーム事業では、ポートフォリオの転換、加速を掲げ、サービスプラットフォームの強化と構造改革の実行に取り組む。
「サーバ、ストレージ、ソフトウェアといったモノを扱うような製品事業部隊は縮小しながら、サービスを提供できるプラットフォームを扱う部隊を強化。ITをイノベーションに活用するサービス事業に拡大する」とした。また、「製品事業について集中と選択の中で売却というのもありうる」とも語った。
執行役専務で情報・通信システム社 プラットフォーム部門 最高経営責任者(CEO)である北野昌宏氏は「メインフレーム、UNIXの事業成長はないが、活用している顧客にはしっかりと対応していく。IAサーバは成長しているが、すべてを取り揃える必要もないと考えている。製品のバリエーションを見直していきたいと考えている。ソフトウェアに関しても、クラウドでの利用、オープンソースでの活用もあり、ここでもすべて揃える必要があるのかどうかという観点で考えていきたい」と述べた。
営業利益率7%超えを狙う
サービスプラットフォームの強化では、M&Aによるタイムトゥマーケットを短縮するとともに、成長分野へリソースを集中させる。構造改革の実行として、2015年度には100億円規模で投資し、「ソフトウェアの高付加価値化、差別化機能への開発フォーカス、日立グループの社会イノベーション事業のサービスプラットフォームの構築、PentahoとoXyaの活用によるグルーバル事業の強化を図る。従来の製品は選択と集中を行い、国内事業についても最適化する」と述べた。
人員配置を2014年度には情報製品事業で65%、システム構築と通信ネットワーク機器事業で35%だったものを、2015年度には人員を全体で国内で2割を削減する一方で、サービス事業で40%、情報製品で30%、通信ネットワーク機器事業で10%の体制へと大胆にシフトする。
グローバル事業展開では、北米モデルの各地域への展開による、自律分散型グローバル経営の確立に取り組み、日本、北米、アジア、中国、中東・欧州・アフリカとロシア(EMEA/CIS)を結んだ社会イノベーション事業推進体制を構築。2015年度の海外売上高は7620億円、海外人員数は2万4500人とする。
そのほか、構造改革プロジェクト「Hitachi Smart Transformation Project(スマトラ)」に関して情報・通信システム事業では、2015年度見通しで225億円のコスト削減効果を想定。2011~2015年度に累計で650億円のコスト削減効果を見込んでいる。
グローバルメジャープレーヤーを目指す(日立製作所提供)
情報・通信システム事業でのサービス事業の構成比は、2014年度実績で64%。2015年度見込みで65%超を計画しており、「製品保守や業務運用などのサービス売上高は拡大傾向にあり、所有から利用への顧客ニーズに応じて高収益なサービスを拡充している」(代表執行役 執行役社長、最高財務責任者=CFOの中村豊明氏)とした。
同社は、2015年度を最終年度とする「2015中期経営計画」に取り組んでおり、「過去低迷を続けてきた時期があったが、2010年度からの中期経営計画では構造改革に取り組み、さらに2013年度からの現中期経営計画では、構造改革と成長戦略を実行し、1989年に達成した過去最高の営業利益率7.1%を目指して、今年度は7%超に取り組む。世界で戦える企業への変革を進めている」(中村氏)などとした。
情報・通信システム事業では、「グローバルメジャープレーヤーを目指した事業拡大、収益力強化を目指す」(齊藤氏)とした。