Windows Server 2003のサポート終了が7月15日に迫っている。日本マイクロソフトの調査では、3月末時点でServer 2003が稼働するサーバ台数は14万台。これをサポート終了までに9万台減らし、5万台にすることを目標としていた。日本マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 業務執行役員 本部長の佐藤久氏に、Server 2003移行の進捗、中小企業への移行支援策、サポート終了後の対応について話を聞いた。
--3月末時点で14万台のWindows Server 2003をサポート終了の7月15日までに5万台まで減少させる目標を掲げています。残り1カ月時点で進捗はどうですか。
日本マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 業務執行役員 本部長 佐藤久氏
正確な数字は7月以降に調査しますが、第4四半期(同社会計年度、4~6月)のWindows Serverの販売状況などから、肌感覚として、目標に近いところまで移行が進んできていると思います。
サポート終了直前の駆け込み需要に加えて、移行を後押ししているのがマイナンバー法です。マイナンバー法対応のための予算を使い、会計パッケージの改修などと同時に、Windows Server 2003の移行もやってしまおうというケースが多くみられます。
--Server 2003からの移行先にはどのようなトレンドがありますか。
サーバ環境を仮想化してIaaSへ乗せるケースが多い傾向があります。Server 2003移行と平行して、Microsoft Azureのビジネスが伸びました。
当社が推奨するサーバ移行のベストシナリオは、「取り敢えず、すべて仮想化しておく」です。最新サーバOSに搭載されたハイパーバイザHyper-Vを使って、オンプレミスのサーバをすべて仮想化し、いつでもクラウドへ持っていける構成にしておくことがベストだと考えます。
将来的に、すべての企業システムがクラウド化するわけではなく、一定割合はオンプレミスに残ります。Microsoftの社内システムでも、2018年時点で30%がオンプレミスに残る試算です。ただし、どのシステムをオンプレミスに残すのが合理的なのか、現時点では分からない。そのため、当社の社内システムもオンプレミスをすべて仮想化し、いつでもクラウドに持って行ける状態にしてあります。
--サポート終了後に残った5万台のServer 2003はどうするつもりですか。
日本マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス本部 業務執行役員 本部長 佐藤久氏
7月15日のサポート終了後も、当社営業やパートナー企業から、移行を呼びかけていきます。ライセンス価格割引などの移行支援キャンペーンも継続する予定です。
当社の調査では、Server 2003を使い続ける理由の多くがセキュリティリスクへの認識不足でした。パッチが提供されないサーバを使い続けることの危険性と、最新サーバOSのセキュリティの堅牢性について、引き続き、情報を提供していきます。
6月に明らかになった日本年金機構からの情報流出も、地方や中小企業でセキュリティ意識が高まり、自社サーバの環境を見直すきっかけになるのではないかと考えています。
例えば、最新サーバOSのServer 2012/2012 R2には「Dynamic Access Control」という機能があります。ファイルサーバにすべてのデータに自動でタグ付けして、データにアクセスできるユーザーの制御、アクセスしたユーザーの特定と監視、機密性の高い情報を含むドキュメントを自動検知して暗号化処理する機能などを提供します。この機能を実装していれば、年金機構の情報漏洩事故は防ぐことができたでしょう。
--セキュリティリスクを認識していても、資金が無いためにServer 2003移行に着手できない企業もあると思います。何か支援策は。
そのような企業様向けに、優遇金利でサーバ移行費用を貸し出す「マイクロソフト ファイナンシング」というプログラムを用意しています。当社のサーバライセンスだけでなく、ハードウェアやシステム構築費用にも充てることができる形で、ゼロに近い低金利で融資します。
企業IT向けのローンは他社も提供していますが、マイクロソフト ファイナンシングは、他社で与信が厳しかったという企業の受け皿にもなっています。