アナリティクスを民主化する--セールスフォース、日本でもSaaS型BIを秋から

NO BUDGET 田中好伸 (編集部) 2015年06月25日 11時35分

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 セールスフォース・ドットコムはSaaS型のビジネスインテリジェンス(BI)ツール「Salesforce Analytics Cloud」を日本市場で一般向けに今秋から提供する。8月からパイロットプログラムを立ちあげ、金融や保険、小売り、流通といった業界での導入を予定している。

 8月から始めるパイロットプログラムでは、多数の顧客を抱え、コールセンターや営業を通じで顧客との接点が多い業界で先行的に導入する。Saleforce上に蓄積される各部門からの顧客データを統合し分析することで、新たな顧客のニーズを発見し、ビジネスの拡大とカスタマーサービスの向上を実現するという。

 セールスフォース・ドットコムはパートナーとの連携を進め、Analytics Cloudのエコシステムを拡大して市場を構築していくとしている。発表されたパートナーは、アイエイエフコンサルティング、アクセンチュア、アビームコンサルティング、アピリオ、テラスカイ、デロイト トーマツ コンサルティング、日本電気(NEC)、パソナテキーラ、日立ソリューションズ、富士通、プライスウォーターハウスクーパースとなっている(下の動画はAnalytics Cloudのデモ)。

塚本眞一氏
セールスフォース・ドットコム 執行役員 Customer for Life本部長 塚本眞一氏

 Analytics Cloudは2014年10月にSalesforce.comのイベント「Dreamforce 2014」で発表された。開発基盤としてPaaS「Wave」を活用している。

 6月18~19日にガートナー ジャパンが開催したイベント「ビジネス・インテリジェンス&アナリティクス サミット 2015」にセールスフォース・ドットコムの執行役員でCustomer for Life本部長の塚本眞一氏が登壇、Analytics Cloudを解説した。

 Analytics Cloudは、手元にあるデータをアップロードして、グラフやチャートなどの形にして可視化できる。ダッシュボードで表示されるグラフやチャートをクリックすると、例えば地域ごとや製品ごと、顧客の年令層ごとにドリルダウンして、データが意味する状況をより詳細に理解できる。PCからのアクセスに加えて、iPhoneやiPadなどのモバイル端末からも利用可能であり、モバイル端末向けに画面は自動で最適化されて表示される。

 Analytics Cloudは、同社の販売業務向けSaaS「Sales Cloud」やマーケティング業務向けSaaS「Marketing Cloud」とマッシュアップできるようにもなることも明らかにされている。

 セールスフォースはAnalytics Cloudを「専門家でなく、ビジネスユーザー向けにデザインされた」と表現している。(Analytics Cloudに限ったことではないが)ユーザー部門はIT部門の手を借りることなく、好きなようにBI環境を利用できる。塚本氏も「クラウドBIでアナリティクスに民主化をもたらす」という言葉でAnalytics Cloudの性格を表している。

 塚本氏によると、米本社は月次の決算を「The GO Book」という名称で経営層にだけ閲覧できるようにしていたという。月次決算は、50ページの固定帳票に200の個別指標が記載されていた。この月次決算は、Analytics Cloudを活用することで、50ページの固定帳票は5つの動的ダッシュボードになり、200の個別指標は15の主要評価指標(KPI)になり、経営層だけでなく、全スタッフが閲覧できるようになっている。

 50ページの固定帳票を5つの動的ダッシュボードにできたのは、Analytics Cloudに表示されるグラフやチャートをドリルダウンすることで、グラフやチャートの意味を理解できるようになったためと言い表すことができる。

 Analytics Cloudで提供される機能は、TableauやQlikView、Spotfireなどのデータディスカバリツールとほぼ同様に見えるが、塚本氏は「非構造化データも取り込める」と解説する。データの取り込みでは、社内にあるものだけではなく、社外にあるデータも取り込んで分析できるとAnalytics Cloudのメリットだとしている。

 塚本氏は、BIツールの将来として「ビジネスの自動化に寄与できる」と主張した。ビッグデータ関連技術と機械学習(Machine Learning:ML)を活用することで、「顧客との関係性を自動で分析」できるようになると語った。米本社がHortonworksやClouderaといったHadoop陣営と提携し、新興企業のRelateIQを買収するのは、そうした狙いがあることを解説した。

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