本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、新日鉄住金ソリューションズの大城卓 取締役上席執行役員と、米MicrosoftのJennifer Byrne チーフセキュリティオフィサーの発言を紹介する。
「AWSとの連携は互いのクラウドとしての特徴を生かしながら顧客ニーズに応えたい」 (新日鉄住金ソリューションズ 大城卓 取締役上席執行役員)
新日鉄住金ソリューションズ 取締役上席執行役員 大城卓氏
新日鉄住金ソリューションズ(NSSOL)が先ごろ、クラウドをはじめとしたITアウトソーシングサービス事業の取り組みについて記者説明会を開いた。同社取締役上席執行役員でITインフラソリューション事業本部長を務める大城氏の冒頭の発言は、その説明会で、同社のクラウド基盤サービス「absonne(アブソンヌ)」とAmazon Web Services(AWS)のパブリッククラウドサービスを連携させたシステム構築・運用サービスの取り組みについて語ったものである。
NSSOLはまだ「クラウド」という言葉がIT市場で定着していなかった2008年に、オンデマンドでのユーティリティコンピューティング環境を提供する目的でabsonneを市場投入。その後、図のような変遷を経て2014年に、マネージドクラウドサービス「absonne Enterprise Cloud Service(ECS)」と、プライベートクラウド構築サービス「absonne Enterprise Cloud Framework(ECF)」として再整備を行った。
NSSOLにおけるクラウドビジネスの変遷
大城氏はabsonneについて、「システムインテグレータ(SIer)の視点から、次世代の企業情報システムのIT基盤のあり方を具現化したもの。具体的には、まずお客様のオンプレミス環境をそのまま当社のデータセンターに移設してもらい、順次absonneへ移行し、クラウドサービスとしてお客様に提供していく形に変えていく。お客様にとってはクラウドへの移行を当社にお任せいただくことで安心感が得られ、コスト削減や品質向上につながる」と説明した。
さらに、2014年11月には、absonneとAWSを連携させたシステム構築、運用サービスを発表。大城氏によると、AWSとの連携については、「試行などで素早く簡単に使ってから返せる環境がほしい」「サービスレベルにはこだわらない安価な環境がほしい」といったabsonneユーザーのリクエストに応えたものだという。