IoTはまだ「テクノロジのコンセプト段階」
情報管理という面で大きな変化にさらされている製造業だが、さらに大きな情報化の波がやってこようとしている。それがIoTだ。
製品内部にICチップを埋め込み、そこから得られる稼働情報を取り込むことで、新製品開発やユーザーへのサービスに役立てようというものだ。IoTという波に対して、製造業の多くは積極的に取り入れようとしている。しかし、具体的な成果はまだ少ないといわざるを得ない。
Schroer氏は、IoTについて「まだ、テクノロジのコンセプトの段階」と話す。Arasでは、IBMと協業で「Aras Innovator」をIBMのIoT向けプラットフォームと連動させ、製造業における具体的な活用手法を探っている。ICチップから送られてくるビッグデータをIBMのクラウドプラットフォームが取り込み、そこで得られた各種の情報をPLMで製造段階で整理されている情報にひもづけていく。これは、IoTを製造現場で生かしていくためには避けては通れないプロセスだといえる。
Schroer氏は、“テクノロジーのコンセプトの段階”であるIoTが今後どう変化していくのかを次のように語る。
「さまざまな企業でIoTの技術的応用が試されるでしょう。一定の成果を挙げる企業もおそらく出てくるでしょうが、主戦場はそこではなく、IoTによるビジネス創出の分野になるはずです。技術を活用して、ビッグデータを取り込みこんな分析ができました、そして既存ビジネスにこんな付加価値をつけましたという段階から、IoTを使ってこれだけ収益をあげるビジネスモデルを構築しましたという話になってくる」
Schroer氏は、こうした先読みをしているCIOが数多くいると話す。
「CIOは、技術を使ってビジネスを創出することを自らのメインテーマにしている。IoTによるさまざまなビジネスモデルの創出は、今後、毎年のように新しいトレンドとして出現してくるはずです。そんな変化の激しい時代に、柔軟性の高いPLMがなければ、製造現場はついて行けなくなる」