DNAが特許対象になる場合、その負の側面は限りなく大きなものとなる。われわれの体の中に今存在しているかもしれない遺伝情報に関する特許を特定の企業に与えてしまうと、その企業は検査の場所や方法、コストを決定できるようになってしまう。母親の遺伝子に乳がんのリスクを高める変異の存在が疑われ、その変異が子どもに受け継がれているかどうかを検査する場合でさえも大金が必要となりかねない。また、人工的に合成されたDNAシーケンスは今日の薬剤と同様、特許の対象となっている。そして、いつの日か脳の機能を向上させたり、特定の疾病を予防するためにお金を払ってそのようなDNAシーケンスを体内に取り込む日がやってくるかもしれない。特許の有効期間が20年間であり、これらDNAシーケンスが子どもにも受け継がれるという点を考えると、子どもの分の費用についても支払う必要が出てくる可能性もある。
現在のジェノタイピングサービスは、人間の健康状態を改善するレベルにまで到達していないが、科学と技術の進歩によってより優れたものになりつつある。遠い未来の話になるだろうが、誰かのDNAシーケンスからその人物のクローンを作り出せるようになる可能性もある。今日のレベルでは、ゲノムを犯罪に利用するには限界があるとはいえ、将来的には非常に幅広く、そして恐ろしい可能性が予見できる。その一方で、メリットをもたらす可能性も同様に幅広く、そして素晴らしいと言えるだろう。
遺伝子検査のもたらす素晴らしくも恐ろしい未来(下)に続く。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。